キャポックちゃん さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
意外に演出がうまい
【総合評価☆☆☆】
「変身」は日本サブカルのお家芸だが、本作は、ウルトラマンや仮面ライダーのようなヒーローではなく、怪獣に変身するというスクリューボール企画(先例はいくつかある)。主人公の名前がカフカなので、小説『変身』をベースに、心ならずも変身能力を身につけてしまった男の苦悩や孤独を描く不条理劇かと思いきや、何のことはない、近年の異世界ものと同じく、チートな能力を授かったにわかヒーローが、バトルに明け暮れるというお話。
面白くなるとは到底思えないプロットである。だが、見始めると、意外にも次回を楽しみにしている自分に気がついた。どうも、サブキャラの描き方に心惹かれたようだ。キャラ設定自体は、「圧倒的に強い女隊長」などかなり類型的で、“あのキャラそっくり”と思える人物も少なくない。しかし、時折ありきたりなストーリーから逸れて、生きた人間の手触りが感じられる。
例えば、第5話でカフカの不規則発言に対して、亜白隊長が腕立て百回(少な!)を命じて立ち去るとき、一瞬微笑む。私は「この女、微笑むだろうな」と思いながら見ており、その通りの演出に満足したのだが、後で見返すと、笑顔はコンマ何秒という短いコマしかない。初見の際に見落とさなかったのは、立ち去るショットが二段構えで視線誘導されたからのようだ。意外に演出がうまいぞと感じた次第である。
他の登場人物も、類型的なのに生き生きしている。アニメーターが共感しながら描いているのだろう。
一つ批判的なことを言わせていただければ、展開を急ぎすぎている。人間的なドラマがほとんど描かれず、話を盛り上げるのに、より強い敵を次々と登場させるという安直なやり方を繰り返すばかり。バトルが派手な割に、ストーリーが単調だ。このままでは、「より強い」が延々と続く“パワーのインフレ”が起きて、話がまとまらなくなりそう(原作を読んでいないので、実際にどうなるかは知らないが、シリーズ構成・大河内一楼のお手並み拝見というところ)。