タック二階堂 さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.5
作画 : 2.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
隔靴掻痒なラブストーリー。
詳細は公式サイトでも。
三河ごーすとさんによるYouTube漫画が原作のアニメ化作品です。制作は、前期「Re:Monster」だの「出来損ない」だの「ただいまおかえり」といった、どうにもならない3作を担当してトリプルプレーを喰らったスタジオディーンです。
そんなこともあり、正直まったく期待していない本作ですが、初回の印象は悪くなかったですね。
タイトルから、よくあるラノベラブコメなのかなーって思っていましたが、けっこうリアリティにこだわった作りを目指しているようです。あ、作画の面じゃなくてね。
心情を絵で表現しようとしている感じというか。
たとえば、バイト帰りに夜の街灯に照らされた自転車の車輪の影とか、帰宅した主人公が自分の靴を下足箱にしまうとか、セリフやモノローグで語らず、表情や行動で表現しようという意図は感じます。
その最たるものが、義妹が風呂上がりにパジャマ姿で照明を点けたり消したりするシーン。人の家に来て、どの照明のスイッチを押せば消えるかわからない戸惑いというものを、まだ新生活に慣れておらず手探りなヒロインの心境と重ね合わせているのだろうと想いました。
比較するのもどうかとは思いますが、「言の葉の庭」のころの新海誠的なことをやりたいのかなって感じました。
さてさて、次回以降、ベタなラノベのようになるのか、余韻を愉しませてくれる作品となるのか。楽しみにしてみたいと思います。
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
学校生活のシーンが始まることで、どうなるかと若干不安視していましたが、なんていうか、う~ん…
まず、全体的に雰囲気が重いというか、暗いですよね。
僕自身が学生生活というものから遠ざかって時間が経過しているせいか、今の高校生たちの関係性というものを肌感で理解できるわけではないので…
ただ、高校生ともなると、イージーに異端者をいじめるという図式ではなく、ヒロインのように遠巻きに扱って、噂ばかりが広がるということはありそうなことだなって。
それを加味しても、もう少し説明があってもいいんじゃないの? とは想いました。ヒロインは、あれは衝動的に車に轢かれてもいいやってなったの? で、どうやって助けたの? あの状況から。
さすがに「察しろ」が過ぎるとは思いました。まあ、悪くはないけど。
{/netabare}
=====第3話視聴後、追記です。
{netabare}
神回になりきれなかった良回といった感じでしょうか。
すごくもったいなかったなぁ。
ここ1点に絞って話すと、まあラスト近辺のシーン。浅村に身体を許そうと部屋に入ってきた綾瀬。「俺が一番キライなタイプの人間だよ」という浅村。まあ、なんやかんやあって「俺たちはうまくやっていけるんじゃないかな、兄と妹としてさ」と自室へ送り出す浅村。去り際に綾瀬が「これからもよろしく、浅村くん」。
ここで終わっとけよ!!!
なんで、この言葉の意味をモノローグで解説しちゃうんだよ!
そこで終わっとけば神回で良かったと思うのに。
これは、綾瀬が浅村と兄妹関係になることを拒否した重要なシーンだと思うんです。それをね、説明することで一気にチープになるんです。
もったいないなぁ。
でも、今回はストーリーラインも演出も素晴らしかった。まあ、作画が微妙なのはディーンだからしょうがないけれども…
良回だったと思いますよ。
{/netabare}
=====第5話視聴後、追記です。
{netabare}
大枠の話としては、まだ現代文の小テスト対策の話やってんのかよというスロー展開は置いておいて…
今回はちょっと酷かったですね。
バイト先の先輩と映画のレイトショーを観に行くのはいいんですが、その映画の映像を何分やってんのよっていう。劇中劇を長々とやるのは、それなりに意味があるときに限ると思います。でも、考えてみたら、別に中の話にリンクしているわけでもないのに、そんなに長々やられても。
しかも、はい映画を観終わりました。帰り道にちょっとしたラブ展開になりそうな雰囲気がありました。からの、また映画の同じシーンからの映画内キャラ同士がバイオリンとアコギでセッションを長々…
なんでしょうね。このあからさまな尺稼ぎ。
原作のここまでを5話でやります。薄っ! どう尺を持たせますかね。じゃあ、映画シーンを長めに入れとく? あとは、ちょっとしたシーンでの会話のテンポを少しゆったりしとこう。そうだな、ここ。「やあ後輩くん」「…………先輩。……補充…ですか?」「そう。手伝ってくれる?」「……………………はい…」このぐらいのテンポで。
そのほかにも、これまで気にならなかった背景だけのシーンの多用も鼻につく。新海風の坂道の抜けのいい風景とか。あ、ここの背景作画だけ妙によかったですね。ただまあ、そのあとにリビングで2人が飯食ってる作画が本当に酷いもんだったのでチャラです。
背景だけで持たせるのって、それこそ新海作品とか京アニレベルじゃないと無理ですね。ディーンの作画ではね…
さんざん腐しましたが、まだ面白い部類ではあるので今後の巻き返しに期待はします。
{/netabare}
=====第11話視聴後、追記です。
{netabare}
ハナっからディーンの作画には何の期待もしていないのですが、それにしても酷かったですねぇ。特に自習室での浅村とメガネちゃんのシーン。いや、どう考えてもメガネちゃんの頭デカすぎでしょ、奥にいる構図なのに。
まあ、こういうデッサンが狂っているシーンは散見されていたわけですが、会話のテンポというか、間もおかしいですよねぇ。
シナリオもたいがいですけどね。
三者面談で先生から、お茶女?みたいな国立女子大を勧められ、週末にはオープンキャンパスがありますよと。で、行ってみようかなってことで、大学に行くと受付に本屋のバイトの先輩がいますよと。んで、そのゼミの教授が、ゼミ生の交友関係を把握しているのも変だけど、そのゼミ生の後輩の子を連れて研究室に行きますよと。しかも、そのゼミ生を抜きにして。
で、一介のゼミ生のバイト先の後輩の恋愛事情を把握している大学教授。
不自然極まりないでしょ?
何をどうしたら、こんなおかしな物語を描けるのか。
全編を通じて、なんだか演劇の舞台のように相手のセリフを待って発言する不自然な間も含めて、戯曲のようなセリフの言い回しも含め、なんか全体的に不自然なんですよねぇ。
序盤こそ、何やら高尚なことをやってる感じをしてましたが、なんのことはない。ただ単に尺を稼ぐとか、作画の省力化をしているとか、そんな感じがしています。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
本作は、サブタイトルをずっと「●● と ▲▲」みたいな感じにしていました。たとえば「兄 と 妹」みたいに。で、最終話の予告から実際の最終話始まりまで「 と 」と、サブタイトルを空白にしていたんですね。
で、これを「観た人それぞれが、自分の解釈で埋めてください」というメッセージなのかなと思ったんです。そしたら、最後の最後でバッチリと
{netabare}
「tomorrow and tomorrow」
{/netabare}
だって。
こういうとこなんですよねぇ。本作の詰めの甘さは。
余韻にしておけばいいのに、Cパートで全部モノローグで喋らせちゃったり。結論を見せたがる気持ちはわかるんですが、こういう作品の場合、それをやると興ざめなんですよ。
恋のライバル出現も遅いねぇ。
これが嫉妬という感情? を芽生えさせることで話が動くのは分かりきっているはずなのに、いつまでも現代文の追試の勉強やってたり、話に動きがなさすぎたんですよね。
なんでもかんでも、こちらが思うようにはならなくていいとは思いますが、それにしたって、なんていうか痒いところに手が届かないもどかしさのある作品でした。まさに「隔靴掻痒」という表現が的確でした。
{/netabare}