タック二階堂 さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
手塚の名にかけてロボットアニメの制作は譲れない。
詳細は公式でも。
KADOKAWA『コミックフラッパー』連載中の杉浦次郎さん原作コミックのアニメ化作品です。制作は、アンドロイドタイプのロボットアニメこそお家芸(のはず)の手塚プロダクションです。
でまあ、今回は10万馬力の心やさしいロボットではなく、家政婦型のアンドロイド・ミーナです。
何の前情報もなく観始めたら、ちょっとキャラデザが良くて「いいじゃん」と。で、OPに手塚プロダクションとあって「え? マジで?」となりました。やっぱり、ロボット物の始祖とも言える手塚先生の潮流なのでしょうか。このクオリティなら十分以上かと。
で、ストーリーですが、冴えないサラリーマンが一人暮らしの不便さを解消するために、中古の飯炊きロボットのミーナを買ったら可愛かったと。で、有り体に言えば恋しちゃったという、非常に気持ちの悪い話です。
まあ、いわゆる「ピグマリオンコンプレックス」という話。
主人公は想いが通じることはないと自覚しつつ、やるせなさで酒を煽り、ミーナを布団に誘います。で、性的興奮を得て勃起。ミーナは「性的興奮をしているようですが大丈夫ですか? なにかお手伝いできることはありますか」と言う。
んーっと、これをどう表現しようとも気持ち悪くなることは否めないのですが、初回の印象では主人公の気持ち悪さが際立ったなと。なんだろ、「彼女、お借りします」の主人公に似ているという印象を持ちました。
主人公への嫌悪感が払拭される、許容できる、慣れることができれば、観続けるのは可能かなと。そこが分水嶺の作品ですね。しばらく様子見します。
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
主人公の気持ち悪さは継続中です。
そこまでではないにせよ、ラブドールと手を繋いで公園にピクニックに行く成人男性は気持ち悪いどころか、現代風に言えば「統合失調症」です。
ミーナちゃんもなぁ…
1クールで終わらせるということであれば、感情の芽生えを急ぐのも無理はないけれども…
だってもう、人間じゃん。結婚指輪をもらってうれしくてずっと眺めているとか。
飯炊きロボットに結婚指輪を買ってやる主人公も、やはりどこか異常性というか狂気を感じるところではありますが、手塚プロとしては「じゃあ、ウチのアトムの世界観はどうなんだよ」ってところかもしれないですね。
次回は主人公の妹が登場ということで、話がどう展開するか。
{/netabare}
=====第3話視聴後、追記です。
{netabare}
そうじゃねえ。そうじゃねえんだよ…
いや、妹登場ってことで、ロボットを内縁の妻にした主人公の異常性というか、狂気性に対して、どうツッコんでいくのか。それが、この作品の面白さになるんじゃないの?
なんだよ、異種族間恋愛フェチってよぉ!!
妹まで異常性癖者だったら、暴投同士のキャッチボールじゃねえかよ。こういうことじゃねえんだよなぁ…
まあ、ついでに言っておくと、僕の妻には感情がないって言ってるけど、感情ありまくりじゃねえか。
{/netabare}
=====第4話視聴後、追記です。
{netabare}
テコ入れの水着回です。
ただまあ、ミーナちゃんはボディが超合金感満載のロボなので、これがテコ入れになるのは相当マニアックな層になります。主人公の妹は爆乳で、これはこれなんですが、それだけでは物足りないために、無理やりスーパーミーナちゃんを登場させますね。
えっと、これ、ロボットである必要ある?
という感じで、もう見た目は人間の女の子でしかないです。しかも、マスターである少年をほっぽらかして、猫だぁ!という始末。
えっと、これ、ロボットである必要…(2回目)
う~ん、ロボに感情云々をというのは、音声会話型AI(Cotomoとか)の進化を考えれば、可能性としてアリだとは思うのですが…
これは何でしょう?
学童保育ロボとでも言えばいいのかしら?
こんな不思議ちゃんロボがいる世界というのは、どうなんでしょうね。まあ、今期で言えば「ATRI」なんかも同じモチーフではあるんだけれども…
あ、主人公は今週もキモかったです。
{/netabare}
=====第5話視聴後、追記です。
{netabare}
キモさに加え、今回はちょっと危うさを滲ませてきた印象。
というのも、ロボとキスという話なのですが、これ、じゃあ陰茎にも話が進むのが自然ですよね。現に主人公は1話で勃起しているわけですし。
そういう生々しい話になるリスクを避けると、話が歪になってくるわけです。もはや飯炊きロボというより、性処理ロボってことになりません?
実際問題、妹は異種間恋愛フェチ。
つまりは、そういう行為に性的興奮を得るって話ですよね。
なんかなぁ。
別にアニメで南極2号を愛する話を見たくないんだよなぁ。まあ、たぶんそういう方向にはいかないんだろうけど。
不自然極まりない話ですよね。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
まずは完走できたということで、それだけでも一定レベル以上の面白さは担保されていたのかなとは思います。
そのうえで、やはりストーリー……というか、設定というか世界観に無理が生じていたかなという印象は拭えませんでした。
ミーナちゃんは飯炊きロボ=家電というのが当初の扱い方でした。前提条件がそれなんですが、話が進むごとに、人格というか、いろいろと人間に近しい存在みたいな匂わせ方が増えてきました。特に、ミーナちゃんの後継機種とか、もう人間と遜色ない。感情もあらわにして、オーナーにそれをぶつけたりします。
制作会社の始祖・手塚治虫氏の名作「火の鳥」に、いかにもロボロボした見た目だけど、主人公には美少女に見えているという「チヒロ」というロボットがでてきたのを思い出しました。まあ、申し訳ないですが、手塚先生と比較するのは酷ですね。
描き方とか、話の動かし方次第では、非常に泣ける展開に持っていけたと思うし、実際、第9話「妻に過去があるようです」では、ここまでの話とはガラッと変わって涙を誘うような話を見せてきました。人型ロボを描かせたら、さすが手塚だなあという気持ちも、少しは出ましたね。
序盤で感じた主人公に対する気持ち悪さは、終盤はだいぶ薄れはしましたが、やっぱり気持ち悪いのは言うまでもないですね。なんていうか、惜しかった作品といったところでしょうか。
{/netabare}