「デート・ア・ライブⅤ(TVアニメ動画)」

総合得点
67.5
感想・評価
70
棚に入れた
244
ランキング
2441
★★★★☆ 3.5 (70)
物語
3.3
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.3
キャラ
3.6

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ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

観終わった

原作未読、アニメの情報のみでどこまで内容を理解できるか挑戦してた部分もあったり。

で、大雑把な感想、分身多すぎ。
狂三の分身の数が多すぎって意味じゃなくて、アイツも分身コイツも分身って展開が多い。
不思議空間に迷い込むのもいつも通りだし、作者の引き出しが…というより、物語を〆るためにはこうせざるを得なかったって感じの苦労が伺える。
そもそもスワンプマンがテーマになってて、果たしてどの段階でこういうオチにしようと思いついたのかが気になる。
要は3期、ユッドベートの能力でいよいよ時間遡行=歴史書き直しネタに触れ出すが、その際はまだ「この作品世界における宇宙法則はこう」がハッキリと固まってなかったのではなかろうか。

まず、狂三の能力のヴァヴとユッドベートは別モノってことは踏まえとかないといけないのだけど、アニメしか追ってない人に分かる様に描写されてたかというと疑問に感じる。
シュタインズゲートに例えるとヴァヴがタイムリープマシン(過去の自分に未来の自分の記憶を上書きする)で、ユッドベートがタイムマシン(肉体ごと過去へ飛ばす、同じ時間に自分が2人居る)。
で、ユッドベートで過去改変したら折紙は全く違う人生を歩むこととなり、人格も別のものとなり、いざ融合(一本道)しようとしたら二重人格になってしまった、というのが3期や4期の対六喰戦の描写に繋がる。
そのことを踏まえた上で4期のストレート髪狂三(本体の指令とは別の行動を取ったアイツ)って何だ?を考えると、5年前シドウに2溌目ユッドベートを撃ったヤツじゃないかなー?とは思ってて。
折紙みたいにならないように融合を避けてて、結果、元は同じ人間ではあるけど別人格の狂三が存在してる…のかなぁ?と。
この推測が合ってるかどうかは知らんけど、とにかく「本人・本物って何さ?」という命題をずっと提示し続ける作品になってました、自覚してかどうかは知らないけど。

そんな中での5期、のっけからレイネがミオの分身だなんだで、お、おう。
8話、狂三は倒されてもう居ないと思われた中、「未来に送り込んだ狂三の分身」が助けに来て(実際はシドウへ能力を授けたことを伝えに来て)返り討ちにあって…あー、うん。
ってかシドウはショック受けてたみたいだけど、本体がやられるのと分身がやられるの、精神的ショックは同じなん?別なん?
そして11話序盤、またまた狂三は倒されてもう居ないと思われた中、セフィラと記憶を譲渡したとかいう分身が現れて、ありありと「本物って何?」を提示。
ただの分身(偽者)と「独立した自我を持った一個人」を分ける境界線ってどこなんだろう。
最近AIの台頭によってそういう話多いじゃない?やっぱ気になっちゃうって。

と散々思わせたところで11話後半「それ(産み直し)によって出来上がったシンジは本物のシンジじゃない」って…ん?おや??
シドウにしたって、「折紙の両親が精霊に殺されなかった世界線(現在の本筋)」の5年間で形成された人格を、上書きして“無かったこと”にした立場なのだが…。
ヴァヴによる数日の遡行だって、上書きして抹殺してるのは変わりない。
本好きでいう「前のマインは何処行ったんだよ問題」が起きてるワケで…シドウ自身を本物だと断言するのが疑わしいフワフワしている中でそれを言ったところで、ねぇ?
足し算を習ってない状態でかけ算の問題を回答された感じ。
シトウ本人にしてみれば自分は消されたくないし自分こそが観測者だと振舞うのは当然なんだけど、視聴者視点だと、散々“無かったこと”にしてきたクセに“孤独の観測者”にもならない、パクった割には本質を捉えてない気がする。
今まで自分が上書きしまくってきたクセに、いざ自分が上書きされる側になったら尤もらしいことを抜かして言い逃れしてるみたいで、ちと共感は難しいかな。

ってことで5期、というか3期の終盤以降はずっとスワンプマンを擦ってばかりが目立った
「この作品はそれがテーマだから繰り返すのは当然」って言い訳は立つけど、だったら付属品でかしかないことを知ったマナが闇落ちする展開とか、あってもいいじゃん?
別の世界線のシドウを返せと詰め寄る精霊が居たっていいじゃん?お前はニセモノだと指差されたっていいじゃない。
妙に物分りがいいというか、都合のいい展開で…。

いやまぁ分かるんだけどね、広げた風呂敷を畳むにはこうするしかない、こうでないとストーリーが終わらないって悩んだとは思うんだ。
ノックスの十戒のひとつ「双子・一人二役は、予め読者に知らされなければならない」そのものでして。
別に推理モノでないから使って構わないのだけど、じゃあなんでわざわざ言明してまで戒めてるかといえば「(作家にとって)便利でついつい使っちゃうから」に他ならない。
まぁその、「これしかなかったんだろーなー」という展開。
そういう意味ではラジエルの能力が便利すぎて「これ使えたらストーリーが破綻する」として敵の手に渡ったことにして封印したのは英断だとは思うが…。
そういう苦労も見て取れるし、意外性のない、なるようにしてなった結末であっても物語を完結しようとしたことは評価……したい。
したいんだけど、なああああ。


で、以上がストーリーの「内容」についてで、次は見せ方…作画というか演出になるのか?
3期に比べりゃ4期5期と作画クオリティは上がったハズ…なんだけど、素直にクオリティが上がったと言って良いのか悩んでしまう。
専門用語知らないから指し示す言葉が上手く浮かばないが、構図?モーション?カメラワーク?そこら辺が平坦。
極上の3Dモデルを渡された素人制作のMMDみたいというべきか、表情固いしアクションシーンは退屈。
あくまで作画崩れを起こさないことに注力して、アニメとしての面白さは捨て去ったかの様。
崩れない様に頑張ったのは凄い事なんだけど…もっとこう、貯めとか、ここは気合入ってるとか、メリハリを付けることはできなかったのだろうか。

分かりやすい例では7話、ウェストコット戦でシドウが使ったハルヴァンヘレヴ、2期だっけ3期だっけ?召還シーンってもっと派手だったと思うのだが…妙にアッサリ。
かめはめ波を撃つ前のブラフではあったんだけど、それにしたって「あのハルヴァンヘレヴでさえウェストコットには効かないのか」と盛り上げるための貯め?引き?はどうにかならなかったのか。
もう一例で9話、シドウがストレート狂三に「本体の中にミオが潜んでることをミオに気取られない様に本体に伝えることは可能か?」と話し、この問題どうやって解決するんかなー?と思わせるフックを仕込んだのかと思ったら、手段が不明なままいつの間にか解決してることに。
上記は分かりやすい(説明しやすい)例を挙げただけで、全体が満遍なくこんな感じ。
フックは仕掛けるけど「なんやかんやで解決してる」の連続、繰り返しになるけど足し算を習ってない状態でかけ算の問題を回答された感じ。
不正解ではないのだけどなんかモヤっとするというか、よっぽど熱心に視聴しないと「よく分からんけど上手くいったんだね、よく分からんけど」って印象しか残らないんじゃないかな。
投げっぱなしされるよりは全然マシなんだけど、もっといい見せ方ってあったんじゃなかろうか。

いやまぁ分かるんだけどね、最終章なので畳まないといけない、あの件どうした?この件どうした?を処理するだけで手一杯で、作業的にならざるをえなかった。
なまじパロディ発祥(タイトルからしてそうでしょ)で、あれやこれやとネタ詰め込んで、収拾のつかなくなるギリギリのところでなんとかまとめたというか。
よくまとめたなぁとも言えるんだけど、なああああ。

色んな種類があったハズの精霊達の能力は全部火力還元だし、一度倒したウェストコットが時間遡行で復活してしまったのでもう一度倒すってラストも、う~ん…。
ずっと倒せずに居たのを最後の最後で倒すってならまだしも二度殺ししてめでたしめでたしって、威厳というか怖さもない、小物相手にクドい(ってかエリオットは死ぬべきだと思う、どっかの世界線で)。
そういう点では、遂にシドウが只者じゃないということがクラスメイトにバレる展開があるのだが、それも時間遡行して“無かったこと”にされてしまったのもなんか残念。
変わりに精霊達が正体バレしたけど、それでどうなった?の前に物語は終了。
ここら辺って、見せ方次第で結構変わったと思うんだけどなー。


──と、グダグダと文句ばかり書いてしまったが、本心としては誉めたいんだよねぇ。
よく完結してくれた、よく最後までアニメ化してくれた、そして「よくエタらなかった」。
1期の頃なんかただのパロディ寄せ集め作品で、このままフザけた展開が続くんだろうなぁと予想したもんだけど、よくここまでまとめ上げたと感心さえする。
本当はそんなのは当然な世の中になって欲しいモンだけど、現実では…ねぇ?
気分的にはアズレンの結末を見せてくれたBRダウンフォール(と勝手に思ってる)と似た感覚。
「この作品の結末を見たいって?ああ見せてやるよ。けど大した事ないぞ」っていう…。
うーん、うーん…気軽に「続編希望」なんて言えなくなっちゃうよ。

原作追ってた人はこのアニメの出来で満足なんだろうか?
3期に比べれば全然マシ、と審美眼が狂わされてない?
はっ、そのために3期はあえてあんな出来だったりして!?…まさかそんな、まさかなぁ…。

投稿 : 2024/07/02
閲覧 : 33
サンキュー:

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