たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
美大生あるある
原作は未読。前にも少し書いたが、藤本タツキは同じ「東北芸術工科大学美術科洋画コース」の卒業生であり、4つ下の後輩である。
本人には直接の面識はないが、聞いた話によるとなかなか地味な人だったらしく、大学でもすごい才能でもてはやされていた訳ではないようです。
なので、正直「チェンソーマン」を読んだときに、少年ジャンプ特有の個性的な天才タイプの漫画家ではないと思ってたので、さほど注目していなかったがここまで売れるとは本人も思ってもいなかっただろう。
本人はどちらかといえばコミック「アフタヌーン」や「ビックコミック」のようなアート系の作風であり、王道な作風とはかけ離れたタイプの人間である。
僕は正直「ジャンプっ子」だったので本来のスーパーヒーロー的な作品が非常に好きだが、藤本君はおそらく「仕事」として描いていたのだろう。「チェンソーマン」自体がそもそも「アンチジャンプヒーロー」な作風のためこの「ルックバック」が本人の持ち味。。つまりは「作家性」なんだと思う。
だからこそ興味あって、映画館までわざわざ見に行った(しかも大手の映画館では上映してない)が、結論から言うと「ほどほどに良かった」
正しく内容は彼の自伝的な作品で、小学生時代の学級新聞に載った漫画を他人から褒められてプロを目指そうとしたり、ライバルが現れた途端に急にやる気を失ったりと。。。その道を目指したことのある人間には「あるある」と頷いてしまうシーンが多いのだが、主人公を女性にしたことは一応ジャンプ的な「友情」話なので「照れ隠し」として女の子にしたという感じが否めなく少し残念に感じた。
あと、終盤の展開は大学を卒業する際に起こったような出来事と最近の事件を織り交ぜているが、その点を理解できる人間はどれだけいるだろうか。
もう少しストレートに描いてくれたら満点をあげたのだろうけれども、ややスノッブを効かせすぎているためオシャレではあるものの「パンツまでは脱いでいない」
僕は多くの漫画家の短編デビュー作を読んできたが、青山剛昌も尾田栄一郎も冨樫義博も、別にマンガ家を目指そうと思っていない人でも共感できるような感情を揺さぶる短編作品を描いている。
もう少し作家の技量が必要なんじゃあないだろうか?