ato00 さんの感想・評価

4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

そして次の曲が始まるのです。

このアニメでもっとも有名はフレーズをレビュータイトルにしました。
曲は、物語と言ってもいいし、人生の歩みと言ってもいい。
嬉しさや楽しさはもちろん、苦しさや悲しさも人生の糧となる。
休む暇なく歩んで行かなければならない道。
そして、一人の生が終わっても、また次世代が歩み続ける。
だから、未来永劫、川の流れるが如く人の思いが伝わるのでしょう。

その象徴となるのが名曲「響け！ユーフォニアム」
あすかから久美子、そして奏へ。
北宇治高校吹奏楽部の系譜は、久美子の思いとともに語り継がれることでしょう。

ラストに久美子のその後が描かれたことから、このアニメは完結です。
北宇治にも京アニにも色々なことがありました。
涙とともに感無量です。

久美子三年生編は、転校生黒江真由の出現から始まります。
夕闇に響き渡るユーフォの音。
波乱の始まりです。
池に石が投げ込まれることで起こる同心円の波。
岸で反射し、幾重にも重なった複雑な波が久美子を追い込んでいきます。

「久美子のわがまま」
一刀両断したあすか先輩。
それは、久美子のいい所でもあり、悪い所でもある。
あすか先輩の言葉を熟考し、前を向く久美子。
そして、関西大会演奏直前の素直な謝罪。
この言葉で部員たちの心がひとつとなりました。

それでもなお、真由が何を考えているのかわからない。
私の中にももやもやが募ります。
しかし、その答えは12話の再オーディション前に。
真由も実は悩んでいたのです。
久美子の苦悩と真由の苦悩が複雑に絡みあい、発生する不協和音。
逆にそれが、北宇治高校吹奏楽部の推進力になったように思えます。

最終話直前の12話は深く心に刺さりました。
いったい、何回泣かせるんや。
感動がさざ波のように押し寄せました。
久美子と真由の相互理解、奏の本音の吐露。
ラスト、大吉山での久美子と麗奈。
言葉では語りつくせない程の感動の渦でした。
感情の高まりとともに互いの本音をぶつける二人。
この瞬間、久美子と麗奈は本当の特別な関係になったことでしょう。

「響け！ユーフォニアム」
制作に携わった人たちには感謝しかありません。
本当にお疲れさまでした。