十六夜咲夜 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
エヴァそっくりの幻想的なSFロボットアニメ
『あらすじ』
SFロボットアニメなのにラブストーリーな内容で幻想的な雰囲気を持つ斬新な作品。所々エヴァに似ている所があり、ポスト・エヴァと呼ばれる作品の中の一つ。主人公の綾人は普通の高校生として東京に暮らしていたが、謎の組織との戦いに巻き込まれ地下鉄へ逃げ込むと神殿にたどり着く。そこにはラーゼフォンと呼ばれる巨大ロボットを発見し搭乗すると東京を抜けて外の世界へと飛ばされた。そこでヒロインの遥と出会い、彼女が所属するTERRAと呼ばれる組織へ入隊し、ラーゼフォンのパイロットとして働く事になる。
『良い所』
「幻想的な世界観」
この作品の魅力の一つとして幻想的な世界観を評価したい。外の世界であるニライカナイ島の幻想的な風景や夏の風景を思い出させる演出面は良いと思った。ラムネや風鈴といった小道具での魅せ方なんかは良いだろう。
「綺麗な作画」
この作品は2002年に作られておりデジタル作画の黎明期に制作されたが、同時期の作品と比べると質が高い作画だと思う。青い海や青空の描写は上手く綺麗に描かれており、空中都市での背景も良き。
「音楽面」
幻想的で綺麗な音楽面については評価したい所。OPや本編に流れる音楽が良くて、特にEDに流れる「夢の卵」という曲はこの作品の世界観にマッチしており心が打たれる。
『悪い所』
「難解なストーリー」
エヴァを目指したかったのかは知らないが、物語を把握し辛い部分が多く複雑な設定が分かりにくい印象。複雑な人間関係や主人公達は何をしたいのか?といった所が説明不足な所があるだろう。登場人物が怒ったり悲しんだりする出来事は理解できるが、何故そう言う事が起きたのか?といった理由が分かりづらい所がモヤモヤする。クライマックスが起きてからのオチまでの展開は急展開すぎる。
「テーマが分かりづらい」
「SFモノ、ロボット、恋愛、セカイ系、謎解き」といった色んな要素を詰め込み過ぎて何を伝えたかったのか?何を魅せたいのか?というテーマが上手く伝わることが出来なかったのが不満点としてあげたい。ロボットモノとして魅せたいなら戦闘面に力を入れるべきだし、何をコンセプトにしたいのかをハッキリしてほしかった。
『総評』
結論から言えば「雰囲気重視のエヴァ系恋愛ロボットアニメ」といった感じだ。幻想的な世界観やそれにマッチした音楽は評価したい所だし、作画や演出面も悪くない。だが、やはり物語が難しかったりコンセプトの方向性やメッセージが伝わることが出来ないのはマイナスになるだろう。主人公とヒロインの年齢差や世界観は独自性があったはずだが、色々と詰め込み過ぎて訳が分からないという印象だ。ラストの出来事なんかはいまいち納得が出来なかった。他のレビューで見受けられるが、「ブルーフレンド」の話は神回であり、電光掲示板での演出や友人を守れなかったという結末は悲しく印象に残る回である。エヴァが好きなファンならきっと好きになるアニメだと思うので、気になる人は鑑賞していこう。