ファースト さんの感想・評価
4.1
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
68分でまとまったシナリオ、イラストチックなビジュアルで、話、絵ともによかった。
友人に連れられ、一切前情報なしで劇場に足を運んだ。
冒頭開始とともに「Youtubeの広告で流れてたやつだ」と思った。
わたしはその広告がてっきり専門学校の勧誘系映像だと思っていたので、映画を観たとき、このイラストみたいなのが映画の尺で動くのか、と驚いた。
映画を観ている際に「映画大好きポンポさん」みたいな創作意欲を刺激するタイプの作品なのかなと感じた。映画が終わると友人からは、この作品はポンポさんから影響を受けたと聞かされて、ストンと合点がいった。中盤主人公がパソコンの前で創作するシーンにはかなり重なるものがあった。
本作品を観たが、「映画大好きポンポさん」をまだ観ていない人にはポンポさんを勧めるし、ポンポさんは観たが、「数分間のエールを」を観ていない人には一見の価値アリ、とお勧めをしよう。
さて、感想ですが面白かったです。
ビジュアル面はおそらくCGを利用しているのでしょうが、かなりイラストチックで色彩豊か。今までにないアニメとしての雰囲気があり、よかった。
とにかく、近年のアニメーション技術の向上を感じられる作品だった。
そして話がとてもよかった。
創作について描く作品はほぼ必ずといっていいほど「才能」というテーマにぶつかり葛藤するシーンがあるが、本作はそれがとてもよく描かれていた。
68分の尺にしては登場人物が意外に多いのにも関わらず、セリフ表現ではなく、1カットの映像表現で各キャラクターの持つ葛藤のバックボーンなどが映し出されテンポ感が非常に良かった。
※ここからは私が劇中でよかったと感じたシーンについて語るので多少ネタバレを含みます。
{netabare}
主人公・朝屋彼方が、改めてMVを作るその意志を先生に伝えるために、車を自転車で追いかけるシーン。あそこが私の中ではクライマックスだった。
途中自転車から転げ落ち、車において行かれた後に1拍おいて「追いついて見せる」というセリフはダブルミーニングになっていて、創作者としてまだまだ駆け出しの主人公が先生に並んで、先生の歌を自分のMVで応援したいという思いをものせたシーンだと思った。そこからED前の別れに繋がっていき。物語の先を視聴している人に想像させる終わり方でとてもよかった。
{/netabare}