ヘンゼル さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ダンジョンというフィクション、食べるという現実
原作未読。
本作は、ダンジョンというフィクションの塊に、食べるという身近な現実の要素を取り入れた、面白い着眼点を持つ作品だなと思います。
<ダンジョンの起源>
ダンジョンという言葉がRPGで使われるようになったのは、一説によれば1970年代に発売されたボードゲームからであり、元々ダンジョンという言葉の意味には地下牢、もしくは城の本丸というものだけでした。
そのボードゲームでも地下牢の意味でダンジョンが使われていましたが、
その地下牢のエリアが好評であったためどんどん拡張されていき、そのボードゲーム自体が地下の構造物をさまようだけのものとなったそうです。
ダンジョンという言葉は現在、ゲームや小説などで探索を必要とする構造物や土地などにも使われるようになりました。
つまり、今使われている意味合いのダンジョンの殆どは現実には存在しないフィクション、という事になります。
本作は、そのフィクションという名の曖昧性があるダンジョンに、ある種のはっきりとした形・輪郭を与えています。
それが「食べる」という要素です。
<食から肉付けされていくダンジョンという構造物>
食べる、という行為は即ちあらゆる生命によって成り立っています。
生物学的に言う「食物連鎖」ですね。
植物→虫→鳥類や、植物→草食動物→肉食動物などの食う・食われるという関係によって、人間もまた命を繋いでいるワケです。
これらの要素を本作ではダンジョンの生物に取り入れています。
これがどういった意味を表すかというと、ダンジョンという箱庭に「食物連鎖」という生命サイクルを持ち込んでいるという事です。
本作では、そういった生命サイクルからダンジョンの設定が構築されていったと思われる箇所が多々見受けられます。
ネタバレになるのであまり詳しくは言えませんが、魔物というものも要は食物連鎖の枠組みの一員でしかないというのは、意外と物語では語られることが少ないと思いますので、本作の作風は非常に珍しいと思いましたし、面白い視点だなあ、というのが素直な感想です。
<総評>
キャラクターの種族ごとの価値観とかも凝っており、キャラクターがその世界で「生きている」という事を存分に感じさせてくれる出来になっていました。
特にお気に入りなのは、一周回ってライオスですね。
彼のイカレぶりは本作の中でずっっっと面白かったので。
あとはダンジョンがフィクションそのものなので、グルメに関してもフィクションの魔物や植物がメインという感じです。
卵や野菜とか、あと調味料とかなんかは現実のものが多かったですね。
なので再現できる料理なんかも一応はあるって感じですね。
食欲がそそられるかはまた別の話ですが。
本筋のストーリーもめちゃくちゃ面白かったですね。
キャラクターがコミカルなのも良い。
二期があったらまた観ようかなと思います。
以上です。