STONE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
とりあえず簡単な感想
原作は未読。
ゾンビパンデミックが起きるところは他の多くのゾンビものと同じだが、主人公である
天道 輝の反応が、それに恐怖するのではなく、ブラック企業からの解放という喜ぶべき事態と
捉える斬新な設定。
物理的に監禁されているわけでもないため、本当は辞めようと思えばいつでも辞められる
はずなのだが、ゾンビパンデミックによる秩序崩壊でようやく自由になるとは、洗脳という
精神的呪縛のかくも恐ろしいこと。
後半に輝の会社時代の上司が再登場するが、あれほど明るく自由を謳歌していた輝が
あっさりと元の従属状態に戻ってしまうのは、洗脳を完全に解くのはそう簡単ではないことが、
改めて思い知らされる。
よくゾンビもので人間同士の対立が生じて、「ゾンビより恐ろしいのは人間」みたいなことが
描かれたりするが、別の切り口で人間の恐ろしさを見せてくれた感じ。
前半において輝の対比的存在として描かれるのがメインヒロインの三日月 閑。
輝の作成リストが「ゾンビになるまでにしたい100のこと」だったのに対して、閑の作成
リストは「ゾンビにならないためにすべき100のこと」。
輝のそれが目的であるのに対して、閑は手段であって、その先にあるしたいことが見えて
こない。
「自分がない娘なのかな?」と思っていたら、閑の方も父親の精神的呪縛に囚われていた
ことが分かり、納得。
後半の主軸となる輝、閑、竜崎 憲一朗、ベアトリクス・アメルハウザーのしたいことをする
旅は楽しげなものであるが、この事態が好転するとは思っていないようで、「いずれゾンビに
なるか、死ぬかするだろうから、それまでは楽しんでおこう」といった刹那的なエンジョイに
思えてしまい、どことなく寂しさも感じてしまう。
このしたいことをする旅は良くも悪くも行き当たりばったり的なところがあり、ロード
ムービー的味わいがある判明、全体を貫くようなストーリー性は弱かったりする。
2024/06/22