蒼い✨️ さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
猫がかわいい。
【概要】
アニメーション制作:スタジオコロリド
2020年6月18日に Netflixで配信開始された104分間のアニメーション映画。
監督は、佐藤順一、柴山智隆。
【あらすじ】
愛知県常滑市の中学二年生の笹木美代は、空気読まない発言や行動の数々から、
「無限大謎人間」→略してムゲとクラスメートから呼ばれている。
美代はクラスメートの日之出賢人が好きで毎日ちょっかいをかけているが、
賢人に相手にされていない。美代には秘密があり、
夏祭りの夜に、服を着て二本足で歩き煙管をふかす成人男性サイズの猫の妖怪から貰った、
猫のお面をかぶると白くて小さい猫に変化する。猫の姿の美代は太郎と名付けられて、
賢人に可愛がられていて、その時の賢人は普段とは別人のように優しいのだった。
美代は家庭環境で悩みがあり、猫の姿で賢人と会っているときだけ幸せを感じていたのだが、
とあるきっかけで深く傷ついた美代は猫の姿のままで家出をするのだった、
【感想】
スタジオコロリドの作画能力は、注目に値するとは思います。
この物語は岡田麿里さんが脚本の作品らしく、思春期の歯がゆい感情に共感出来るかが鍵でしょうか?
「猫をかぶる」とのことですが。人は誰しも人に見せる部分と見せてない部分があり、
最初はエキセントリックなヘンテコ少女な印象が強い美代も、
両親の離婚と、仲が悪い訳では無いが新しい母親になるかもしれない女性の存在に納得できずに、
美代本人の意思とは関係ないところで流されっぱなしの彼女の人生はフラストレーションだらけで、
本当は誰よりも傷つきやすい繊細な心の持ち主だからこそ、
変人の仮面で武装しての気にしてないふりで笑っては自身の弱い本性を普段は隠している。
そして猫のお面をかぶって賢人の前にいる間だけ美代は、本当の自分になれている。
その心の機微への理解と肯定を出来れば良いのかもと思いつつ、
家庭環境の思い通りへのならなさに『世界が滅べばいいと思っていた』などの台詞回しに
美代のイタイ子の部分は彼女の素でもあるなと思いました。
そこは、岡田麿里さんらしい尖り方ですけどね。
途中で恋愛と家庭環境のイライラでとうとう暴発してしまう美代ですが、
美代本人の前では面と向かって言えないことも、猫の姿なら気づかれずに聞いてしまう。
コミュニケーションの行き詰まりをファンタジー要素な小道具で解決してゆき、
それらが美代が立ち直るきっかけとなって組み立てられたドラマ性はわかりやすいですね。
反面、美代が本物の猫になって人間に戻れなくなってしまうのを阻止しようとする、
猫島での猫妖怪との対決展開は微妙だったかも。
そこは、美代と賢人を両思いにして絆を深めるために必要なイベントではありますけどね。
作品としてはつまらないわけでもなく一応は楽しめましたが、
何度も観たいわけでなく…というところで感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。