nyaro さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
TVシリーズのアニメとしては最高峰です。
この作品の面白さはちょっと異常なくらいだと思います。アニメの出来がいいのはもちろんなんでしょうけど、その前に読んだ原作もかなりはまりました。
一人ひとりの少女の個人の物語に仕上げつつ、キスショットとアララギの関係、北白蛇神社などを中心に統一感があります。
対比として化物に取りつかれる少女たちとそれを祓う大人たち、というキャラの構造も一貫しています。
そして不死・不自然なものたちの存在する非日常と日常のシームレスな関係とか、人間がそれを自分の頭で作り出す心理の怖さのようなものを描いています。つまり都市伝説・ヒトコワです。
この作品は一貫してこれですよね。ヒトの心理の闇と怪異の関係です。その一方でちゃんとキャラとして忍、八九寺、斧乃木余接などはすべて怪異・幽霊・付喪神でファンタジーとしても成立しています。
そう、キャラ造形が見事なのでこれが成立しているんでしょうか。羽川・八九寺はもちろんですけど、やはり今回目立ったのが撫子です。可愛い反面、嫉妬・コンプレックス・幼稚な恋愛・学校にある悪意…いろんな負の感情が含まれていています。以前からの設定の再利用ですが、それを撫子の成長と将来の展望にまで結び付けた、と同時に貝木というキャラの深堀り、そして戦場ヶ原との関係まで語られました。
こういうところでキャラの分厚さがでることで作品の面白さと説得力が増して行くのが本当にすごいと思います。
まあ、正直戦場ヶ原が一番いい子ちゃんキャラになって作者が持て余している気もしなくはないですが、それすらワザとそう見せている感じはします。
テーマや含意、寓意を見出すこともできますが、それはあえて排除しているかなあという気はします。やはり、要するに「人は助けられない、勝手に助かるだけ」です。
物語の作り方として、見事だと思います。このシリーズ、総集編を含めて26話。花物語も含めると31話ですね。正直「化物語」に比べ、それ以降、後ろに行くほど原作は冗長感がでてきた感じはあるのですが、アニメで見るとテンポは悪くないです。
相変わらずのシャフト芸で、文字芸と止め絵とイメージシーンを多用していますが、やっぱり本作の画像は見ごたえがあります。撫子の肌の色とか色艶とか、この子の作画はやっぱりエロさがすごいですね。それはももちろん魔性であってキャラの一部になっているんでしょう。
そして音楽です。このシリーズの中で「アイヲウタエ」「その声を覚えてる」は素晴らしいと思います。切ないんですよね。EDアニメもあのセンスは他には見られません。
また、撫子のOPアニメも1作目のセルフオマージュをしながら、その内面の変化をうまく表現していました。
あとは声優さんの演技がみんなノリノリな感じです。これほどキャラと声優のイメージに違和感がない作品も珍しいです。
と、拾っていけば、ほめたいポイントはいっぱいあるんですけど、キリがないのでこれくらいで。
感動としては猫の黒も合わせた羽川の白黒がいいんでしょうけど、今回は面白いのは八九寺関連。すごいと思ったのは撫子関連。そして神原の花物語は作りすぎですがストーリーテラーとしてのうまさを感じました。
ということで、TVシリーズとして超高クオリティの作品です。エンタメ作品としては最高峰ではないでしょうか。1作目に比べて驚きはもちろん数段落ちますが、その分洗練されていると思います。
まあ、オール5でいいなかあ…というかこれがオール5じゃなかったら、オール5の作品はほとんどなくなってしまう気がします。