「BLUE GIANT(アニメ映画)」

総合得点
76.7
感想・評価
109
棚に入れた
382
ランキング
686
★★★★★ 4.1 (109)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.9
音楽
4.5
キャラ
4.1

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nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 2.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

話は定型。主人公の葛藤がゼロ。令和のジャズも描けていない。

 いい話よくできた話です…以上、という感想です。努力し自分を信じ続ける…わかります。わかりますけど、主人公に葛藤がないんですよね。それと、ジャズとは何か?を語ってくれないので、この作品のジャズを他の何かに置き換えても、話が成立してしまいます。

 そう、音楽の成功って結局大衆化ですからね。ジャズはわかる人だけにわかるサブカル…あるいは文脈が必要なアートに堕してしまったがゆえに、支持されなくなったジャンルかな、と思っています。そもそもジャズというジャンルが地下にもぐってしまっている時代です。サクセスしたところで、どういう意味があるのか。

 ジャズで成功するとはなにか。スノッブの集まりでみんなから拍手をもらうことなのか。その辺の「なぜ今ジャズなのか?」がまったく伝わってきません。ジャズの魂はなんなのか?彼のサックスはなぜみなの心を打つのか。それが努力スゲーじゃダメでしょう。令和のジャズは何なのかが描けていなかった気がします。

 ストーリーです。田舎から出てきて、出会いがあって、チャンスがあって、成功する、という定型です。もちろん話に型があるのはしょうがないですが、せめてちょっとはズラそうよ、というくらい定型でした。
 挫折の作り方がすべてサブの沢辺にその役割を担わせてしまっています。宮本の才能に打ちのめされる、態度が悪いと音楽性どころか人間性まで否定される、そして事故。そのくせ結局彼にも才能も技術もある感じになって、成功するような方向性が見えます。

 ドラマーもちょっとご都合主義です。ジャズの自由さを言いたいのかもしれませんが、それはいくら何でも…という気がします。

 キャラは主人公の性格造形やバーのママ、SO BLUEの支配人。全部ステレオタイプでしたし、特に主人公の内面描写がない(葛藤がない、にもつながります)ので、キャラ造形は良くなかったです。

 そして、時代背景ですけど、2000年くらいにした方がよかったかな。せめて震災前でしょう。スマホの型と貧乏人の大が持っているという普及率から言って作品は2020年くらいの感じでしょうか(いや、もうちょっと前か。2013年連載開始らしいですから2015年くらい?)。いずれにせよ年代は明記されていない以上現代として鑑賞すると、スマホとユーチューブがある今この上京サクセスストーリーは説得力を持つか、です。

 受け売りですが、ジャズはサブカルとして1960年70年代に急速に広がり、そして80年代に入るともうハイカルチャー化していきます。つまり、熱を失う代わりに高度化して行きます。また、聞く側に素養が求められるようになります。1990年代のTVのジャズに関する動画で「あの頃はジャズがね」と回顧している感じです(1995年のタモリさんの番組)。つまり、今ジャズを描くならどの時代でどういうジャズの状況がベースとしてあるのか、は明言されないと読み取りようがないです。

 うーん、正直ジャズをテーマにしてこんな凡庸なストーリーだとは思いませんでした。

 こんなに迫力のある音楽シーンを作ったから許してね?という作品の気もしますが、それをどう感じるかは人それぞれでしょう。

 オール2が基準で、作画はまあ劇場版としては普通でしたが、演奏のCGなどは優れていましたので3.5。
 音楽は…うーん、ジャズの良さってわからないんですけど、サックスが「どこかで聞いたジャズ」なんですよね。テーマを音楽で超えられていたんでしょうか?ですが、まあわからないので評価せずの意味で3にしておきます。


追記 皆さんのレビューを読むと、劇場で見た人の評価が高く音楽に感動した、という人が多いようです。残念ながらサブスクで視聴し、かつ、ジャズがわからない私にはその楽しみ方はできないです。2つの見方がある作品のようですね。

投稿 : 2024/06/03
閲覧 : 288
サンキュー:

13

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