nyaro さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
完成度は高いが、題材がアニメとしては身近すぎる気もします。
ジブリ系の作品は宮崎氏以外のものに興味がなく見ていなかった作品です。ネット配信が無く、中古DVDも出回ってないし相場も新品並みなので視聴する機会がなかったですが、最近機会を得て見ることができました。
完成度という点では、ジブリ作品の中では一番完成しているのではないでしょうか。修学旅行にまつわる中学校時代の事件に端を発して親友を得て、高校の修学旅行で、お金が絡み偶然が絡みある少女との関係性が生まれます。その関係性に苦労して高校時代は振り回されますが、成長してみると…という話です。
話のポイントはネタバレしませんが、苦労とか意地とか自己主張とかが大事なところです。
苦労は後で振り返るととても大切なものになります。苦労は成長であり大切な思い出です。そして、高校生は子供です。正義感も万能感もありますが、成長すると違う幼さ故の側面が見えてきます。許せないと思っていたものも許せるし、当時の他人の言動の本当の意味が見えてきます。
そういう青春のストーリーがスケールは小さい話ですが、丁寧に非常に説得力も感動もある形で描けていると思います。
そして、そこが欠点でもあります。物語が個人的な体験を超えられているか?ということです。この話のようなことは高校時代にいろいろやった人にとっては、同じような思い出が誰でもあるような気がします。この作品ほどわかりやすくはなくても、先生に反抗したり、友達と喧嘩したり、仲たがいしたり、恋愛したり、親に黙って泊りがけで出かけたり、酒を飲んだり、クラスで問題が起きたり、そして、同窓会で「実は…」の経験もあると思います。
そういう点で他人の一つのいい物語の疑似体験として、面白いし、いい話だし、気持ちもいいし、感動もあります。ノスタルジーもあります。ただ、そこが72分のアニメとして見たときの満足度につながるか?というと、微妙です。
作画も背景美術も美しいのですが、女性の肩がいかついんですよね。バブル時の肩パットかなとも思いましたが、そうでもなさそうです。4.5かな、と。キャラも話もいいですが、上記のような理由で4ずつ…声優さんはちょっと残念なところもあるので3.5、音楽もそれほどなので3.5とします。
そうそう島本須美さんが方言指導とスタッフロールにあったのがちょっと笑いました。