蒼い✨️ さんの感想・評価

4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

心優しきは善きこと哉。

【概要】

アニメーション制作：シンエイ動画
2000年3月11日に公開された91分間の劇場アニメ。
原作は、漫画制作会社の藤子・F・不二雄プロが『月刊コロコロコミック』
にて連載していた「大長編ドラえもんシリーズ」作品。

監督は、芝山努。

【あらすじ】

学芸会のクラス予選で「白雪姫」を演じることにした、
のび太、ジャイアン、スネ夫、しずかの４人。

ジャイアンがジャンケンで決まった王子様役なのが、
のび太とスネ夫に納得されずに仲間割れ。その日の練習がお開きになって、
ドラえもんの「万能舞台セット」を、勝手に持っていってしまうジャイアン。
用途は芸能人気分で気持ちよく歌うための舞台づくり。

「万能舞台セット」を取り戻すためにドラえもんは「タイムホール」を使うが、
のび太のドジとジャイアンの抵抗で失敗し、タイムホールの時空の乱れが発生して、
のび太の部屋が古代文明の太陽の王国・マヤナ王国と繋がってしまい、
ドラえもんとのび太は、のび太とそっくりなティオ王子とジャングルで出会う。

現代の日本に興味を持ったティオ王子の命令で、のび太とティオ王子は入れ替わることに。
ティオ王子はマヤナ王国に害を為す悪い魔女レディナを打倒する方法を、
日本で見つけたいらしい。

似てるのは見た目だけで性格や腕っぷしが正反対のふたりは、入れ替わった先でトラブル続き。

マヤナ王国の危機にドラえもんたちとティオ王子たちはやがて協力することになるのだった。

【感想】

大長編ドラえもんの第２１作目は古代マヤ文明をモデルとした舞台での話。

アレンジされたウィーン少年合唱団の「ドラえもんのうた」も良かったですが、
由紀さおり・安田祥子が歌う「この星のどこかで」もまた、
大人っぽくてしっとりとした名曲で良かったです。て言いますが前の２作で歌っていた、
吉川ひなのとSPEEDの良さが自分には理解できなかった反動があるのですが。

今作ではデジタル化の影響でしょうか？線や色使いが変わってきた気もします。
どの時期から変わったとかの判断は適当ですけどね。

今回は冒険ものというより、ゲストキャラクターのティオ王子を主役にした、
人と人の心のふれあいのドラマを楽しむべきでしょうか。
のび太と見た目がそっくりなティオ王子は堅物が過ぎて尊大でわがままな印象を与えますが、

民を統べるには弱い王では不適格との考えからの強がりと、
王家に生まれて心を許せる同世代の対等の友達がいない孤独さで、
尖った人格を育んでいったのでしょうかね。

それが、入れ替わり生活での経験や、のび太たちとの交流で友情が生まれたことで、
人を信じて聞く耳を持つようになったり助け合うことを学んで、
人間として成長して「太陽王」となっていく、その下地をを作っていくみたいな話。

優しい心を持っているが、普段は情けなくて弱虫なのび太もまた、
一人で戦うティオ王子の姿を見て、助太刀をしたり王子を教え諭していく、
自分のことではだらしないのび太も、他人を助けるためならいくらでも頑張れる。

人の心を動かすのは嘘偽りのない人の心で、ひとりでは出来ないことも、
みんなで頑張れば乗り越えていけるみたいな、
人によっては歯の浮くような綺麗事の話ではありますが、
友達を信じて大切にする精神を子供に読み聞かせるにはちょうど良い、
まるで道徳教育みたいなアニメ映画であるとは思いました。

アニメに不満があるとしたら、原作漫画のラスト数ページがカットされてたこと。
事件が解決して王になったティオがククと一緒にのび太たちに会いに行こうとして、
二度と会うことは出来なかったが、彼らとの思い出を大事に生きてゆこうという話。
大長編ドラえもん映画は長さが一定ではないですが、あと２～３分程度尺を伸ばして、
それを入れられなかったのが少し残念ではありました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。