二足歩行したくない さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
光の向こう、光の向こう側へ
転スラ劇場版作品。
原作者によるオリジナルストーリーで、タイミング的には2期2部直後の話となります。
オリジナルストーリーですが、本編にはがっつり絡んでいて、番外編的なものにはならなそうです。
本作によってテンペストはある国家と国交を結ぶこととなり、また、今後のストーリーに絡む悪魔とも因縁を持つことになります。
10周年記念作である"コリウスの夢"であった伏線のような演出の回収もあり、見終えるとOADなどでやや複雑になった転スラのストーリーを本筋に引き戻す劇場版だったような印象を持ちました。
クレイマンを退けたことで魔王となり、リムルは敵なし状態となってます。
本作にて打ち砕くべき奸計をめぐらせる明確な敵は出現しますが、バトル面での不安は全く無いです。
リムルと剣を交える相手はぶっちゃけランク違い甚だしいはずで、それでもバトルシーンが普通にあったのが不自然と思うほどでした。
敵の悪巧みがありましたがそこに魔王リムル登場し、快刀乱麻に解決する、いつも通りの水戸黄門的な展開です。
敵の強大さはどうしたってリムルに対抗するのは難しく、そのためかストーリーが凝っています。
滅ぼされてしまった大鬼族(オーガ)の里の生き残りが、ある小国・ラージャ小亜国の女王トワに助けられ、ヒイロという名前もつけられる。
ある日、女王トワが、国を守るため王家に代々伝わるティアラの魔力を使いすぎて倒れてしまい、助けを求めてヒイロはテンペストを訪れる。
オーガの里というと、ベニマルらもその生き残りで、豚頭帝ゲルドの侵攻により滅ぼされました。
そのため、ヒイロははじめ、ハイ・オークのゲルドに襲いかかりますが、ベニマルらにあい誤解が解けると、自分の来た目的を話し始めるという展開です。
そういえば、ゲルドは全てを食らい尽くしながら侵攻を続けるオークの軍勢の将軍でしたね。
このあたり、ストーリーの矛盾のなさが素晴らしいです。
凋落したラージャ小亜国に仕掛けられた呪いの正体、ティアラの出自、敵の企みとその背景が本作中で完結していて、テンポよく楽しめました。
ラストはかなりご都合主義なところがありましたが、お涙頂戴は転スラに似合わないと思うので、多少強引でも天下泰平、まるっと一件落着に収めるあたりも良かったです。
転スラらしい、凶悪なのにどこかほのぼのした作品でしたが、過去作の履修と状況理解は必須です。
また、今後の作品を楽しむ上でも、視聴しておく必要が出てきそうですね。
登場人物やストーリーが増えてゆくのはシリーズが続けば当然のことですが、だんだん複雑になるので難しいところです。