十六夜咲夜 さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
リコリスリコイルの先駆け
【あらすじ】
美少女ガンアクションアニメの元祖というべき作品の一つ。最近のガンアクションだとリコリスリコイルが流行っているが、そのアニメの先駆けといえるだろう。フランスに住む凄腕仕事人の美少女ミレイユと謎の女子高生の霧香がノワールという名で暗殺ユニットを結成するという内容。
ミレイユは過去に両親を何者かに殺された事から「復讐を遂げる」霧香は過去の記憶を失った事から「過去の記憶を取り戻す」という目的を持ち、過去への巡礼として謎を解く話となる。
良い所
『ミレイユと霧香の距離感』
今作の主役となる二人がノワールとして一緒に仕事をこなしていくが、魅力の一つとなるのが二人の距離感の変化だろう。序盤は互いに銃を向けたり、ミレイユが霧香に対して銃殺しようと考えたりとピリピリした関係だったが、ピンチの時に助けたり一緒に生活するにあたって、物語が進む毎に距離感が縮まっていく所が良かったと思う。ミレイユの「アンタ」という呼び方から「霧香」と名前で呼んでいた所が印象的だ。霧香がミレイユに対しての手紙を送ったシーンは見物であり、お互いに大切に思っていることが伺える。最終回での紅茶のくだりは二人の友情を表しているだろう。
『斬新なアクションシーン』
ガンアクションをコンセプトにした作品であり、アクションシーンが多く見られる場面がある。特に序盤のポップコーン作戦やポケットに銃を隠して発砲する等、斬新な戦い方に工夫を感じた。サングラスのテンプルで刺したり、フォークを刺すなどバリエーションがある。霧香の敵の倒し方は印象的に思う。だが中盤辺りからの銃撃戦が単調になるのは玉に瑕。
『暗い独特な雰囲気』
2000年代初期のアニメなのか90年代のような独特な雰囲気を持った作品だと思う。セル画で作られた発色の色使いや暗くシリアスな内容がその雰囲気を表現していると思う。毎話から流れる冒頭の語り掛ける台詞も中々独特な雰囲気を出しているのではないだろうか。まさに深夜アニメといった感じだ。
悪い所
『尺稼ぎとなる場面』
戦闘シーンでたまに挟む無言の間を取る所があるのが欠点。日常シーンでもこの間が所々挟んでいる為、間延びなのではないか?と思ってしまう。終盤辺りからの回想シーンを多く取り入れているためか、テンポが悪く感じる。この無言の間や回想シーンでの使い回しは尺稼ぎと思っている為、悪い点として挙げる。
『終始シリアスな物語』
裏社会での暗殺や宗教をテーマにしている為、内容が難解で最初から最後までシリアスで真面目な物語で進んでいく。シリアスで難解な部分が独特な雰囲気を醸し出していて悪くないが、ギャグシーンや微エロといった気休め的な要素が含まれていない為、鑑賞している時に窮屈に思ってしまう。難解な部分があるせいか、ラスボスであるアルテナの目的があまり理解出来なかった。だが霧香の「よいしょ」やアイスクリームの食べ方、猫の回や絵師の回は微笑ましいシーンがあったが、それぐらいしかないといった所。クロエが初登場するまでは物語がつまらなく感じると思う。
【総合評価】
結論から言えば雰囲気重視の哀愁漂うバディ物アニメといった所だ。霧香とミレイユの友情や暗い雰囲気を持つ古き良き深夜アニメという観点から見て、魅力溢れるアニメであり高評価を挙げたいぐらいに名作とも言える。特に戦闘中に流れる音楽は戦闘シーンでの迫力を増しており、音楽面においても高く評価したい。作画の面に関してもこの時代から見て出来が大変良くて、フランスの景色や夜景が美しく映える。キャラクター性も悪くなく、残酷な暗殺者でありながらも、アルテナや霧香達の前では笑顔を見せるクロエが愛らしく思い、彼女の声も萌える。
声優さんが豪華であり、桑島法子さん、三石琴乃さん、久川綾さんといった豪華な面子である。今作で驚いたのがちびまる子ちゃん役のTARAKOさんがアルテナ役として出演していた事である。冷徹でありながらも優しそうな声も演じれるのは流石といった所。ご冥福をお祈りします。