pister さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
観終わった
面白かった。
が、その理由は「ダメななろう」でささくれた心を宥めてくれる、カウンターというかアンチテーゼというか、その部分に拠る所が多い。
果たしてこの作品単体で楽しめたかというと…どうなんだろう。
一番良かった点はカズキの存在。
現在のなろう概念が蔓延る前の、異世界に召還された人間のリアクションを取ってくれる。
召還したことに怒ったり、元の世界への未練を見せたり、召還先での生き方に迷ったり。
なろう概念が蔓延る前はこれが普通の反応で、昔の異世界転移モノのキャラらしい振る舞いで、ここら辺の描写は老舗スタジオの得意とするところなのかも知れない。
また、そんなカズキと対比する形で主人公の奇異性──召還先での適応力や元の世界への未練の無さなど──が明確となり、奇異なものを奇異であると作ってる側が扱ってて安心できる。
いやぁ、ダメななろうだと奇異なことを普通として扱ってて脳がバグるんだよね、それへの当て付けに見えなくもない。
一方「カズキは闇落ちしてウサトと敵対する」といういかにもな昔の召還モノのテンプレ展開が頭をよぎり「やってもいいけど、さすがにそこまで行くとちと面倒臭いかなぁ」とも思ったが、そうはならなさそうでホっとしたり。
昔のノリのキャラを出しつつも現代向けのアレンジもよく出来てる。
多分転移したのがウサト一人だったら、そこらのダメななろう系と変わらない出来になってたんじゃないかな。
と、面白かったのでもっと誉めたいところなんだけど、その中身の殆どがダメななろうへのカウンターで、冷静に考えれば「これくらい出来て当然」ではあって…。
逆に、やっぱりどうしても臭み消しが出来てない点も無きにしも非ず。
リングル王国は2年前に魔王軍と戦争したそうで、勇者召還を行わないと次はヤバそうって位に追い詰められてるハズなのに、どうにもその爪痕的なものの描写が足りない気がする。
城下町までは攻め込まれなかったみたいだが、2年前の合戦跡とか、侵攻上にあって壊滅された村の跡とか、あってもいいような?
なにより、その時の捕虜って居ないの?
訓練で勇者の前に捕虜を並べて「じゃあ殺してみよっかー」とかやらないのか。
グランドグリズリー&ブルーグリズリーだって成り行き上殺さずに済んだだけで、本来は殺す予定だったハズ。
作り手から召還組には手を汚させないバリアが張られてるみたいで、これじゃあカズキの怒りも不発というもの。
「ホラ見たことか、こういう嫌な目に遭わされると分かってたから召還直後に怒ったんだ」的な出来事ね、それが薄い。
序盤、気になりつつも気にしない様に努めながら見続けたら、中盤の黒騎士の処遇でいよいよ無視できなくなってきて…どうなってんだろう。
「高校生なんかより科学者を召還した方がよっぽど戦力になるんじゃね?」ってのも考えないようにしてたのに、魔王軍側が生物兵器を作ってるせいで無視しづらくなってしまったのも痛い。
ってか生物兵器作るのと勇者召還はどっちが外道なんだろう?
これは今後次第だけど、勇者召還は禁忌魔法だったワケで、それを行って周辺諸国は何とも思わんのかな?
あとは、ロリ獣人や黒騎士の中身が美少女とか、相変わらずのいつものアレで溜息を隠せないが、これはもう義務なんだろうか、なろうの規約に書かれてるのかな。
あ、そうそう、肝心のヒロインの扱い。
個人的にはデートアライブの折紙やしょびっち的なの──猛アピールしてくるけどどこかズレてて、アピール対象(主人公)は常識人で、大概自爆に終わる系──は結構好きで、本作のスズネも悪くないと思うのだが…。
ウサトの方が恋愛対象として見てないよね、自分なんて不釣合いだと最初から考えないようにしてるのだろうか。
と、気になる点はあるが、総合的にはプラス評価。
今後の展開は先に書いた気になった点をフォローする内容に進んでくれると有難いが、旅かぁ。
問題解決したら次の国へってなってリセットを繰り返すのかな。