RFC さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
駆け抜けた3年間 黄前久美子の物語
ついに始まりました。3年生編。
原作は買うだけ買って封印中。
(アニメ終わったら読みます)
前のめりで視聴開始。
【作品概要】
響けユーフォ⇒響けユーフォ2
⇒誓いのフィナーレ・リズと青い鳥
⇒アンサンブル
の続きです。
高校1年で弱小だった北宇治高校吹奏楽部に入部した久美子も
いよいよ最高学年で最後のコンクールに挑みます。
ああ、これでようやく原作を読める。
【作品に対する感想】
想定以上の物語でした。
最後まで描き切ってくれた制作陣にはただただ感謝ですね。
3期内容濃すぎて、以下むっちゃ長過ぎでごめんなさい。
(これでもだいぶ削りました)
多分原作から削ったところもたくさんあるんでしょう。
欲を言えば2クールでじっくり描いてほしかったかな…。
1)物語
これまでのユーフォ作品群と2点大きな違いがあったと思います。
➀吹奏楽との距離
これまでは久美子が近視眼的に吹奏楽に向き合う中で、
それにまつわる問題と戦ってきたと思います。
麻美子の話はちょっと例外ですが、
吹奏楽に強くフォーカスしてたと思います。
今作は黄前久美子の人生の一ページ…
少し俯瞰視点から…そういう描き方だったように思えます。
部活で燃え尽きずに、ちゃんと次につなげていく。
人生70年とすれば、3年間は5%未満。
人生の1ページに過ぎないんですよね。
ただ、とてつもなく大きな付箋が貼ってある1ページですけど。
高校3年生って、人生の大きな転換点でもあるんですよね。
吹奏楽で全国金ということだけ追っかけてればいいわけでもなく
ちゃんと自分の将来を考えないといけないわけで。
というわけで、これまでの作品群と比べ、
少しピントがぼけたかなって感じた人もいるかもしれません。
➁{netabare}奏者として脅かされる久美子
様々な問題に首を突っ込んできた久美子ですが、
これまで一度も奏者として脅かされることはなかったと思います。
そこに降って湧いた黒江真由。
アンコン編で「蓋をした」のに、開いてしまいました。
作品中初めて「自分をかけた戦い」に身を置くことになりました。
{/netabare}
2)作画
微妙な心情描写が凄いです。
久美子・真由は特に。
そしてOG軍団可愛すぎ、かつ美しすぎです。特に香織。
3)声優
ともよさんの演技が今作も光ってました。
12話の演説もそうなんですが、
各話の「そして次の曲が始まるのです」の困惑と不安、
合宿でのイライラ・怒りを押し殺した演技が良かったと思います。
4)音楽
➀ツボ
開始早々「ディスコキッド」。
こんなの歓びでトリップするしかありません。
アンコン時のOMENS OF LOVEといい、
制作陣はどんだけツボを押さえてるんでしょうか!
「ディスコ!」は入れてほしかったですけど(^^;
➁コンクール曲
尺の都合か、課題曲がフルで聞けなかったのは残念です。
一方で自由曲の「一年の詩」
私はは重厚な曲が好きなので、ちょっと響きませんでした。
三日月の舞、リズと青い鳥の方が好みです。
あと走馬灯演出が胸に来すぎて、音楽が頭に入ってこない…
orz
個人の技量が響きそうな曲だと思ったので、
特待生がいる私立校向けの曲かなとは思いました。
➂Soliのオーディション
Tp.を支えるような真由。
Tp.と対話するような久美子。
久美子のSoliは、1期の大吉山でのデュエット
「愛を見つけた場所」を彷彿させますね。
あとで気付いたのですが、
真由の譜面には「支える」という書き込みがいっぱいです。
久美子の譜面には「麗奈と息を合わせる」と書かれてます。
両者の演奏へのアプローチが違うことが分かりますね。
5)キャラ
➀黄前久美子
1期と比べると言動・風貌 共に大人っぽくなり
魅力が凄く増しています。
ぐいぐい引っ張るリーダーシップがあるわけじゃないけど
そっと背中を押せるタイプ。
久美子の悩み・迷いは、仕事でも組織でも、
人を纏める立場にに立ったことがあるなら
きっと誰もが思い悩んだことだと思います。
すごく共感できるんですよね。
➁高坂麗奈
正論爆弾で、人の上に立つには
「ちょっとどうか」という言動が目立ちました。
切り捨てるばかりじゃ、
「そして誰もいなくなった」になると思います。
久美子がいなかったら、部がバラバラになって
終わってたように思えます。
1プレイヤーならあれでもいいんですけど、
幹部で部を纏める側の人間なので、
もうちょい言動はコントロールすべきだと思います。
人間関係は久美子や秀一がどうにかしてくれると信頼して、
あの言動だった可能性もありますが。
あと自分の言いたいこと言ったらキレて立ち去るの
ホントだめだと思います。
建設的な話ができないんですよね。
➂塚本秀一
これまでは影が薄かった彼が、麗奈と真っ向から
ぶつかる場面もあり、成長を感じることができました。
(求に気を遣わせてるのは流石にやりすぎですけど)
恐らくアニメの裏で色々動いてたんでしょうけど
そういうのも見てみたかったですね。
➃黒江真由
最後の方まで何を考えてるか読みづらい娘でした。
{netabare}
この娘「ほとんどのことはどっちでもいい」は
過去の後悔、自責の念からなんでしょうね。
ですが「真由の根底にある絶対譲れないもの」を見抜かれ、
彼女の言動は実はすごくシンプルだったことが分かります。
この娘はどうでもいいことには器用で、
本当に必要なことに不器用なんでしょうね。
{/netabare}
➄久石奏
彼女なりのやり方で久美子の力になれるように行動してますね。
やはり一度信頼すると裏切らないタイプのようですね。
{netabare}
ただ奏の洞察力をもってしても真由の本心までは見抜けず、
パート内のギスギスを助長させてしまったのは
ちょっと残念でした。
久美子を好き過ぎて盲目的になっていたのかもしれません。
そして窓開けは力技(^^;…{/netabare}
➅釜屋つばめ
この娘、物事を色眼鏡で見ずに
フラットな視点から見ることができるんでしょうね。
好感が持てます。
⑦滝昇
合理性が高い半面、人付き合いは苦手なんでしょうね。
久美子たちとの出会いは、滝にとっても大きな財産になったと
思います。
6)印象深いシーン
{netabare}
➀1年生退部の危機
義井沙里、責任感ゆえ独りで頑張ってたんですね。
麗奈、初心者たちどっちの言い分もわかるから
余計に板挟みになる。
何が正しいのか迷う。
更にドツボにハマる…。の悪循環。
久美子は具体的な解決策を示したわけじゃないですが、
力ある人から肯定されたことで迷いが払拭されたんですね。
サリーもこういう経験を積み重ねて、人の上に立てる
人財になっていくんでしょう。
➁月永求の根幹
緑の「信用されてなかった」は結構重いです。
個人の事情にどこまで関与するかは結構迷いますよね。
本人から話したならともかく…ね。
個人的には求の問題だと思います。
・話さないなら、公の場で表に出すな
・分かってほしいなら自分からちゃんと話して説明しろ
最終的には求はちゃんと自分で話して、
解決を図ったので良しとします。
緑には言葉じゃなく、音楽で伝えたんでしょうね。
(個人的にはちゃんと言葉で伝えてほしいですけど)
良い師弟です。
➂久美子 麗奈と決裂
久美子によく言ったと言いたいです。
もともと久美子は玉虫色の調整で力を発揮するタイプ。
麗奈のように優先順位をはっきりさせて驀進するタイプじゃない。
だからこそよく言ったといいたいです。
そもそもあれだけたくさんの集団の中で、
誰もが納得する正解なんて見つかることが奇跡。
だから揉める。
90:10なんてわかりやすい判断ならともかく、
51:49を決断していくのが組織のトップ。
たとえ麗奈と決裂したとしても、
久美子は自分の決断をし、それを正解と信じて
進まなければならない。
仏の塚本も珍しく感情的になってたし、
この物語のリアリティ、好きでした。
胃は痛いですけど。
➃わがまま
周囲のことや全体のことを考えて行動してると
そもそも根本的に自分は何をしたかったのか
飛ぶことが多々ありますよね。
久美子の場合特にそうなんでしょう。
あすかの言葉はちょっと端的過ぎる気もしますが、
(2期で自分のことを私利私欲って言ってたくらいですし)
久美子の本当に望むことがはっきりしました。
久美子の演説。
そういえばあすかも関西前に演説してましたね。
理屈よりも心にズンとくる言葉。
あすかを動かしたように、部員にも伝わったようですね。
真由を除いて。
➄全国オーディション
これほんと予想外でした。
久美子が盛り返して、全国で麗奈とSoliやって、
大団円を予想してました。
衝撃を受けた、私的神シーンでした。
この12話を見て、1)➀久美子の人生の1ページを描きたいと
考えているのかなって思うに至りました。
久美子と真由の力と力、
ズレたエゴとエゴ、ズレた想いと想いのぶつかり合い。
公正な判断のため、久美子と真由の姿を隠してのオーディション。
・・・
でもね、ある程度の実力者だったら音でわかっちゃうと思います。
なんとなく久美子っぽい音…。
なんとなく真由っぽい音…。
麗奈は当然として、近しい秀一や奏、緑、美玲なんかは特にね。
・理想の人⇒正しい人
麗奈は個人の望み(久美子と吹きたい)よりも
正しさ(上手い)を優先し真由を選びました。
迷いが無いかと言われれば、恐らく嘘になると思います。
下を向いた数瞬は、逡巡だと思います。
でも麗奈は1年の時の久美子との誓いを優先しました。
彼女の信念を貫いたのは見事でした。
久美子も個人の望み(麗奈と吹きたい)が敗れた直後、
麗奈との誓いと正しさを貫き、
「これが北宇治のベストメンバー」と言い切り
部を一丸にする部長の責務を果たしました。
関西大会の時、真由に久美子の演説が届かなかったのは
「久美子が本心を言っていない」と思っていたからでしょう。
しかし今回は事前に久美子が麗奈との誓いの話をしたことで、
「個人の願いよりも大切にしていることがある」と
納得したんでしょう。
だから今回の演説では涙が出たんでしょう。
・努力が報われるとは限らない 努力しなければ絶対に叶わない
これを最後に持ってくるとは思ってなかったです。
やっぱり特別になれるのは一握り。
この悔しさを糧に生きていくんですよ。
この3年間で久美子が得たものは
ユーフォの技術だけじゃなかったはずです。
それはきっと必死でやってきたから得られたもののはずです。
決して無駄ではないはずです。
・奏
自己防衛が最優先だった奏が、
久美子のためにあれだけ涙を流せるように…。
大事に思える存在が出来た奏、ほんの少し報われた久美子。
こんなの泣くなと言われても無理です。
➃全国大会
真由が写った写真を送ってるんよ…。
そして、どうでも良かったはずの金賞で泣いてるんよ…。
真由も歩き始めてるって、安心しました。
➄黄前副顧問
きっと部長をやった経験が活きるはずです。
そしてあのヘアピンが久美子のもとにあるってことは、
数年後には本当に夫妻になってるって妄想してみたり。
{/netabare}
7)ん?
{netabare}
➀釜屋すずめのコンクールメンバー入り
低音に厚みが欲しい…はすごく解ります。
ですが、県大会前にピッチが合わないと言ってるレベルで
バンドのプラスになるだけの力量があるとは思えません。
いくら才能があっても、練習量が多くても
さすがに覆せるものではないように思えます。
ピッチが合わない大音量って、邪魔でしかないように
感じるのですが…。
➁滝への確認の是非
人間、納得してないときと納得してるときで
パフォーマンスに大きな差異が出ると思います。
ならば、疑問を持つなら即座に解消すべきだと思います。
疑問を持つこと自体が間違いという麗奈の考え方は
とてもじゃないけど私は賛同できません。
久美子が滝に確認したうえで納得できたなら、
その納得を以って部を纏めることができたでしょう。
妄信的に飲み込めというのは人を人と扱ってないように思えます。
➂係員に止められたなかよし川
吹奏楽やってたんやから演奏中入れんの知っとるやろ!
あと愛する後輩の最後の舞台に遅れた理由が飲み物って…orz
{/netabare}
8)余談
➀立華高校吹奏楽部
サンフェス前の描写の力の入れよう、すごかったですね。
これは「立華高校マーチングバンドへようこそ」を
やるって勘ぐっていいんでしょうか?
期待しますよ?
いいんですね?
わくわく♪
(作画班死にそうですが)
以前からときどき登場した佐々木梓だけでなく
あみか、花音、美音、太一、志保
と思われるキャラもいましたね。
北宇治よりかなり体育会系ということは伝わったと思います。
➁特別と凡人
特別(天才)と凡人が同じ土俵で戦ったら
一局特化の天才が絶対に勝つでしょう。
だからこそ凡人にも出来ることがあると思います。
もし世界の人すべてがビルゲイツやアインシュタインだったら、
もし北宇治が麗奈とみぞれだけで構成されていたら、
すごくカオスな世界になる気がします。
というか、集団として維持できない気がします。
皆それぞれ出来ること、役割があるんだと思います。
9)原作を読んで
➀決意の最終楽章(2024/10/14追記)
物語の展開の違いは触れないでおきます。
リアリティという面では多分原作の方がリアルだと思います。
吹奏楽部員というだけでなく3年生という思考・行動の色が
強い印象でした。
逆に言うと、アニメの方はその原作を素材にして
最大限にドラマティックに、心を揺さぶる作品に
仕上げてきたんだなと感じました。
尺がなかったとはいえ、
全国大会の最後のシーン、カットしないでほしかったかな。
これも青春の1ページだと思いますので。2828
➁みんなの話()