蒼い✨️ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ドラえもん のび太と環境運動。
【概要】
アニメーション制作:シンエイ動画
1990年3月10日に公開された100分間の劇場アニメ。
原作は、藤子・F・不二雄が『月刊コロコロコミック』
にて連載していた「大長編ドラえもんシリーズ」作品。
監督は、芝山努。
【あらすじ】
のび太が真夜中にピンクのもやの中を歩いていて、
出口から外に出ると学校の裏山ではない知らない森だった。
暗闇の森の中で、「これは夢に違いない、もっといい夢を見たい」と起きようとするのび太。
ところが起きないし夢のはずなのに痛くて泣いてしまったのび太は話し声を聞いてしまい、
行ってみると、人間のように服を着て二本足で立って会話する犬・熊・豚の子供。
彼らはオバケの森の探検をしていて、犬のおまわりさん(犬の子供の父親)に見つかって、
連れ戻されるところだった。
家に帰ろうとするのび太はホタルが入っている不思議な花を拾い、
ホタルを追いかけて再びピンクのもやの中に。
翌朝、廊下で寝ていたのび太はドラえもんに起こされて、おかしな夢だったと思う。
その夢の話をするのび太だったが、ドラえもんたちには子供っぽい夢として笑われてしまう。
学校から家に帰るとテレビの上の花瓶に昨夜の花が生けられていて、
あれは夢じゃないと考えるのび太。
そして次の夜中にトイレに起きたのび太は家の中でピンクのもやを見てしまい、
今度はハッキリ目を覚まして着替えて、夢の国の正体をつきとめようと、もやをくぐる。
後をつけてきたドラえもんとともに昨夜の犬の子供のチッポを助けたのび太。
そのお礼に家に招待されて、そこは文明のある街に穏やかな動物人間たちが暮らす国で、
巨大な月があることから、地球ではない遠い異星・アニマル星らしい。
また翌日。学校の裏山を開発してのゴルフ場建設計画があり、
のび太のママが反対運動に参加しているのだが、業者が計画を進めようとしているところを、
ドラえもんの道具で妨害。その裏山の森の中でピンクのもやを発見。
しずかを誘い一緒にアニマル星に行くドラえもんとのび太、
それを見かけて後を追うジャイアンとスネ夫。
環境保護とクリーンエネルギー政策が発達したアニマル星に感激するのび太たち。
一方、ジャイアンとスネ夫は草も木も生えてない廃墟だらけの荒れ果てた世界に迷い込む。
アニマル星には神話があり、もともとは何も無い星だったのを神様が緑の惑星に作り変えて、
悪魔が住むという月から連れ出した動物たちがいて、
それに基づくと動物の子孫がアニマル星の住人だという。
実は月に住む悪魔たちは実在していて、
アニマル星を我が物にしようと侵略決行の日が近づいているのだった。
【感想】
大長編ドラえもんの第11作目。
子供はドラえもんがいつまでも大好きというわけでもなくて、
ある程度大きくなったら小さい子供が観るものだと卒業して、
今なら【推しの子】とかフリーレンに転向したりする時代。
昭和の昔でも、タッチやガンダムにシリーズに興味が移ったりしていたものですし。
その卒業した子供がもっと大きくなって、
一周回ってドラえもんの良さに再び気がついたりするものですけどね。
その児童向けアニメのドラえもんとしては今回は、
環境問題と戦争をダイレクトに扱った映画作品として、子供にはちょっと難しいかもです。
クリーンエネルギーで制御されて緑豊かなアニマル惑星を人類が進むべき理想の未来とし、
神話では悪魔と伝えられている地球人そっくりな宇宙人が住む地獄星を、
1990年頃の地球人が考えを改めずに環境破壊や戦争を繰り返して汚染してしまった場合の、
地球の未来の姿として、それらを比較することで子供たちに環境保護に興味を持ってもらう話。
また、敵である人間そっくりなニムゲ星人にも、先祖たちの愚行のツケで、
荒廃した母星で厳しい環境を強いられている彼らにも積年の思いがあったり、
緑の大地への強いあこがれが暴走して侵略行為をしてしまったコックローチ団にしても、
単純な悪役なのではなく、彼らにも仲間への思いやりや夢を叶えたい純粋な気持ちがあったものの、
奪うことで幸福を得ようとしる戦争行為は正当化出来ない罪であること。
そして同じニムゲ星人でも先祖の罪までも自らの悲願のためも受け継ごうコックローチ団を、
逮捕しようと行動している連邦警察が存在する。
ユートピアの優しく穏やかな住人として単純化されたアニマル星の動物たちよりも、
むしろ悪いことをしたニムゲ星人のほうこそ分派による対立があったり、
種族としてのドラマや葛藤などが感情豊かに描かれているのですが、
それらの一枚岩でないニムゲ星人(人間)の姿を描くことによって、人間の罪と、
今の自分達のツケを将来の子孫たちに払わせてはいけないという、
これから進むべき道を視聴者に考えてもらおうとの作者の意図が、
言い方を変えればあからさまで説教臭いストーリーかなと思いました。
これは子供向けに自然保護に興味を持つきっかけとしては良いのかもしれませんが、
この作品で絶賛されているソーラーパネルは発電効率が悪くて本当は素晴らしいどころか、
環境汚染物質そのもので耐用年数を過ぎれば処分に困る粗大ごみでありますし、
シェアの80%を占める中国自体が世界一の環境汚染大国であり、
それが日本の一部の政治家と結託してエコ事業が利権まみれであったりで、
またソーラーパーネルの設置場所がゴルフ場跡地の再利用であったり、
日本各地の山中を開発して広大な面積の木を切り倒して設置されてるのをってしまいますと、
地球に優しい理想のエネルギー政策どころか環境破壊事業で全然ダメじゃん?
また、電力の消費で現代の文明の利点を享受しながら、
原発反対を唱え続ける活動家たちが存在したり、
綺麗事を口にする人たちこそが、ご都合主義と欲にまみれていて、
藤子・F・不二雄先生の作品での主張が絵空事に終わりそうなのが現実の世界なのですが、
これは先生がお花畑なのではなくて、人間の心が漫画の世界よりもっと汚れていて、
環境保護だろうがなんだろうが、大金が動く事業は利権まみれで、
それが理想との様々な矛盾を生んでいて、
もし先生が存命ならば、それらを作品の新たなネタにしたのだろうか?と思ったりで、
結局さ、「のび太とアニマル惑星」とは35年前の知識と認識で描かれた作品であって、
令和の今となっては、合わない部分が多いと思いました。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。