camuson さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
印象度:97
原作未読。
魔法が存在し、エルフやドワーフなど人間以外にも様々な種族が共生する
中世欧州風の王道RGP的なファンタジー舞台設定。
本作品に特徴的なこととして、まず挙げられるのが、
主人公が魔王を討伐した後から物語がスタートするところです。
人間の一生の儚さ、それゆえの凝縮された刹那を感じさせることが
作品の底流にあるとすると・・・、
人類の文明史ほどの長い寿命を持つエルフの回想を交えて、
俯瞰的な視点から現在と過去の比較を行いストーリーを進めることは、
とても有効であることは誰でも気づくところだと思います。
とはいえ、回想される過去は、
エルフの記憶に強く残っているものである必要があるし、
作中の現在の世界や登場人物に大きな影響を与えていた方が、
現在のストーリーとの絡み具合もよくなるし、
受け手にとっても、まったく知らない人物や事柄であるよりは、
知っていた方が当然没入しやすくなるし、
などなど、これらの条件を積み上げていくと、
勇者による魔王討伐という一大イベントこそを、
過去の回想話にしてしまうというのは、
実は最も理にかなったストーリーテリングであるという解答に行きつきます。
ひらめきによるのか、理詰めで到達したのかは定かではありませんが、
すばらしい発見だったと思います。
しかし、それだけにはとどまらず、
破綻の無い世界観の構築、
無駄なキャラクターがいないのではないかと思えるほどの
キャラクター設定の細やかさと自然な絡み方、
各話ごとに、じんとくるような何か、
ドキッとするような何かがあるなどのストーリー構成と展開の妙。
ジブリとはまた違った優しく親しみのあるキャラクター造形。
表面的な優しいタッチの中に狂気も表現できているのは、
これまでのマッドハウスでは見られなかった、
浄化されたマッドハウスの新境地を見た思いです。
原作既読者の評価から失速すると思われた一級魔法使い試験編。
アクションとキャラの絡みがさらに多彩になり、
面白さが加速しているのが素晴らしく、
シーズンの終わり方もきれいな形で、余韻が残る良いものでした。
オープニング・エンディングすべて世界観によく合っていました。
OP1「勇者」はYOASOBIのベストじゃないでしょうか。
OP2「晴る」は最初は印象薄かったのですが飽きがこないスルメ曲。
ED「bliss」もいい曲。予告のランダムなセリフとのつながりもイイ感じです。