てとてと さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
人造人間ヒロインの自由と自我の物語…を見たかった。作画と設定は良いけど主人公にフォーカス出来ていない
ボンズ25周年のオリジナルSF。ラーゼフォン以来のボンズ&出渕裕監督作品との事。
人間に逆らえないプログラム?施された人造人間が、惑星開発とかに酷使されてる世界観で、
人造人間だけど例外的な存在である主人公(女の子)が、変身バトルしたり、やがて色んな思惑や陰謀に迫っていく。
【良い点】
古き良きSFの世界観や設定が良い。
使い古されてはいるが、それがダメという事はない。
アシモフコードによる呪縛、人間とネアンの関係、ネアンの悲哀から反逆の意志、主人公に秘められたアシモフコード解除の鍵コードイヴ云々…
特にルジュがネアンの悲哀を知っていく前半の方が良かった。
ストーリーはルジュ以外のインモータルナイン達の思惑が絡む群像劇&バトルな感じ、各々の立場ややりたい事を通じてテーマは一応示せてはいた。
各キャラ何をやりたいかはちゃんと分かる作劇で、脚本はギリ上手く纏めていた。
作画や演出が良く、序盤分かり辛くとも見ていけば世界観や設定はちゃんと分かる作りにはなっている。
この手の作品は理解できないけど長い目で見て楽しむタイプなので、序盤の分かり辛さはあまり問題とは思わなかった。
キャラは主人公のルジュが可愛かった。2024冬で一番好み。
見た目より精神年齢が幼く、感受性が素直な少女。
キャラデザも前髪の房?の片方だけ紫な独特のデザインが可愛い。
曲者っぽい相棒ナオミとのリコリコめいたバディ感も(序盤は)良かった。
ジェネレイターガウル彷彿とする渋い変身バトルも良かった。
作画が見応えあり。
個別回では2話の一癖ある面々の軽妙な掛け合いや交流が一番面白かった。
3話4話の津田健ボイスな医師の話とキャラも良かった。
2クールあれば、こういう寄り道回を積み重ねてもっとルジュやナオミを掘り下げられたかも。
【悪い点】
話数不足にキャラの視点が多過ぎた故か、肝心の主人公ルジュの印象が薄い。
物語がルジュにフォーカスしていなかった。
精神年齢が幼く無知なルジュが、3・4話みたいな任務を通じて少しずつ成長し、何を感じ何を成すのか?
ネアンの現状と自分はアシモフコードに縛られぬ意味、アイディンティティー葛藤…
が見所になるべき作品と思われたが、序盤は説明不足、中盤以降はその他ナインや人形遣いらの群像劇に移行してしまい、ルジュ掘り下げの暇が無く空気気味。
むしろ人間の刑事と相棒ネアンの方がしっかりドラマを感じるが、脇役でしかない。
作品のテーマや真相は、ルジュそっちのけでナインや人形遣いたちがゴチャゴチャやっていた。
一応妹分との交流などで感情の動きは分かるものの、詰め込みの弊害か薄い。
序盤の説明不足は追々分かってくるので2クールであれば問題はないが、1クールしかない中で展開が遅い&分かり辛い。
ナオミとのバディ関係も2話は良かったが全般的に不足、掛け替えのないパートナー感がイマイチだった。
【総合評価】3~4点
酷評もやむなしの微妙作だけど、自分好みの作風&ヒロインだったので捨て難い。
最後まで見ればやりたい事は伝わったので、そこまで駄作という程でもないという事で評価は好意的に見て「普通」
好きか嫌いかで言えば好きだった。
敗因はキャラの視点が多過ぎた事で、ルジュとナオミのバディ物&成長ドラマを見たかった。
作風は違うけど評価微妙なオリジナルの「アルスの巨獣」は総合的な脚本はダメでもクウミちゃんのキャラに魅力があったのと、相棒のジイロ他仲間たちの個性と関係性が良かった為、良作ではなくとも魅力はあった。
世界観は所詮舞台装置であって、視聴者が見たいのはあくまで主人公たちのドラマなので。
古い過去作だと「星方天使エンジェルリンクス」とか「キディ・グレイド」辺りの、ヒロインが自分のアイディンティティーを知っていく系を期待してた。
【余談】
ラーゼフォン監督という事で、バーベム財団めいた雰囲気は懐かしかった。
ナインたちの大半をドーレムみたいにして、キャラ視点減らせばよかったかも。