ato00 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人を知るということ
典型的な剣と魔法のファンタージ世界が舞台です。
ただ、特徴的なのは勇者一行が魔王を倒した後の世界ということ。
それに、ヒロインは千年以上生きる長命種であるエルフということ。
だから、必然的に別れは訪れるものです。
金曜ロードショー初のTVアニメ1話目放送という。
日本テレビさんの熱の入れようは半端ない。
だから、作画はしっかりしているしアクションはスピーディーかつ美麗。
でも何と言っても、物語構成が素晴らしい。
{netabare}最初に触れたように魔王討伐後から始まる物語。
そして一気に50年後、勇者一行再会後の悲しい別れ。
表情の乏しいフリーレンが唯一感情を露わにした瞬間。
人の心を知る旅路の原点です。
それからさらに月日は流れ、勇者一行の忘れ形見の男女二人。
育った経歴は違えども、二人は極上の能力の持ち主。
天才魔法使いフェルンと人類最強戦士シュタルク。
フリーレンとともに、北方を目指します。
時に激しい魔族との戦闘がありますが、概ねまったりした旅が続きます。
色々な人と出会い、語らいそして別れ行く。
まるで人生の縮図のような旅の中で回想されるのは、勇者ヒンメルとの思い出。
優しくて美しくて切ない関係が胸に迫ります。
ヒンメルはフリーレンのことを心から大事に思い、愛していたことが良くわかります。
ただし、当時のフリーレンはヒンメルの真意をほとんど理解していない。
旅路の中で今になって気づくフリーレン。
しかし、フリーレンの満足そうな表情と口調に後悔はないような気がします。
この作品、コメディー要素もたくさんあります。
フリーレンの世間とズレた言動はツッコミどころしかありません。
それを母親のようにフォローするフェルン。
怒ったり、叱ったり、呆れたり、シュールな笑いに包まれています。
また、フェルンとシュタルクのやり取りは、楽しいの一言。
仲が良いのか悪いのか。
ほぼツンのフェルンに超鈍感シュタルクが振り回される形。
ザインの叫び「もう、付き合っちゃえよ!」に、この二人の関係性が凝縮されています。
終盤の一級魔法使い選抜試験に、多くの個性豊かな魔法使いが登場。
印象的なのが、皆感情を抑えて冷静に戦うところ。
フリーレンやフェルンのそうだけど、一流の魔法使いは眉ひとつ動かさず淡々と術を発動するようです。
ちょっと感心しました。
心に残ったのは、魔法がイメージの世界だってところです。
ユーべルが天才と言われる所以はそれが容易にできるから。
現実世界を解析するにはイメージが大切だと思っている私にとっては、共感しかありませんでした。
ただ、狂犬のようなユーべルには個人的にはついていけそうにはありません。
北へ旅立つラストシーンが深く心に残りました。
フリーレンが別れに執着しない理由。
「また会った時に恥ずかしいから」
そんな風に考えられれば、別れに悲壮感はないのでしょう。{/netabare}