村人A さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
万人に紹介できる、非常に無難な異世界転生モノ
うん良かったよ、と言える異世界転生モノ
作中全体にストレスがなく、非常に無難な作品だ
作画は非常に安定しており、動きもある
OPとEDは個人的には好みじゃないが、欠点もない
声優はモブも含めて、好感が持てる
あとは、ストーリーだが
異世界転生モノのなかでは、良質
レベルが高いと思う
主人公は前世(現代日本)では、世界最高峰の薬学博士にして、超ブラック勤務の研究者
1人でも多くの人間の命を救うべく、日々自らの命を削り研究し絶命、異世界転生という運び
他の多くの異世界転生モノと違い、彼は前世でも非情に成功している
ゆえに、転生先にて前世では発散出来なかった欲を撒き散らす、といった愚行は犯していない
清廉潔白で、全く嫌味がない
力を誇示したりしないし、ハーレムを築こうせず、
むしろ、自分の力を行使することの危うさに恐怖し、反面、目の前の命を救うためには自分の能力が最善であることに苦悩している
ただし、これは異世界転生モノ
主人公はチート能力が付与されている
転生先の世界には、お約束の魔法(神術)があり、主人公は、主神の加護が付与され、その世界の人間が決して行使できない魔法を扱うことができる
さらに、その世界の権力者の大半は、主人公を大好きになり、主人公の行動を強力に後押しする
以上が、ストーリー上の主人公の立ち位置だが、
彼には、思春期の男の子であれば備わっているであろう、欲が削ぎ落とされている
性とか、名誉とかのギラギラする欲求がない
ゆえに、変なストレスがないのだ
異世界転生モノは、主人公がイチからその世界で生計を立てる見返りとして、チート能力が付与され、
その能力を元に、低負荷、低ストレスで物語を非常に有利に進める特徴があり、爽快である
反面、チート能力をキーとして、主人公が前世で満たすこと出来なかった欲との対立というか、解消が比較的大きなテーマとなりがちで、
視聴者としては、見たくない、本能的な、人間の黒い部分を見せられている気分になることもある
また、それは作者のご都合主義的な面もあり、時には反感を買うこともある
この作品は、さらにその負の部分まで、削ぎ落とした点が評価できる
とにかく、安心安定で、より低ストレスで物語を見ることができる
小学生低学年程度の子供にすらオススメできる
全くピュアで真っ直ぐな主人公が、とにかく目の前の病に立ち向かう物語となっている
ただし、それゆえにというべきが、物語を通して、主人公や他のキャラがなすべきことが薄いと感じる
もっと自分の人生に意欲出しても良いぞ、お前ら
立派なキャラばかりだ
主人公を筆頭に、今目の前にある難題や難病にいかに取り組むべきか、彼らは必死だ
だが、それをフィクションとして、娯楽として視聴するには、少々高揚感に欠ける
それは、視聴者が日常で眼にする風景の延長線にあるように見えてしまう
ドラマチックさには欠けるが、リアルな人のやり取りの末にある安定した世界観
能力があり、尊敬できる人物による安心できる成熟した貴族統治社会
舞台とキャラと意欲とその葛藤が薄い
完全異物な主人公が、世界にすぐ受け入れるのは、勿体無いなという印象
もっともっと世界やキャラに拒絶され、翻弄されてもいい
総評は良いが、無難な作品だ