ヘンゼル さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
イサミィ!最高のフィニッシュだったぞ!
熱血系ロボットをシリアスな世界に放り込んだらどうなるのか、という化学反応を楽しむアニメ!という感じの本作。
最初から最後まで高クオリティで仕上げてきたのは勿論のこと、ギャグを挟みつつも、見せ場はクールで、手に汗握る展開も用意されているという徹底ぶり。
最後までとても楽しく拝見させていただきました!
本作はいわゆる「勇者シリーズ」のパロディが多く採用されています。
本作におけるテンション感の違いから生まれるギャグは、勇者シリーズとシリアスの混合から生じるものだと思いました。
かといって、別に予備知識や勇者シリーズを観ないと楽しめない、という事もなく、私もそういったシリーズがあるのは知らなかったので未視聴でしたが、全く問題なかったです。
ただ、下記の知識を踏まえて観てみると、より楽しめる構造となっているのも間違いないので、一応書いておきます。
勇者シリーズ…1990~1998年の間にサンライズ・名古屋テレビ・東急エージェンシーによって製作されたロボットアニメの総称であり、リアルロボット路線(機動戦士ガンダムなど)を外れ、子ども向けで分かりやすいという事をテーマにしている。
変形も、子ども向けで分かりやすいという事をテーマにしているため、身近な乗り物がモチーフとなっている。
また、ロボット自身が意識を持って会話するという設定が、このシリーズの特徴的な部分であり、車両などのマシンに生命が乗り移ってロボット化した「生命体型」、人間の手でロボットに知能を持たせた「超AI型」、主人公がロボットと融合する「融合型」という3つの分類がある。
<作画>
TSというロボットはがっつり3DCGだと分かるような絵柄だったので、少し浮いてるなという印象でした。
しかし、本作の主役であるブレイバーンというロボットや、敵キャラのロボットに関してはそんなことはなかったので、違和感なく観れると思います。
どちらかというと、ガンダムシリーズのようなシャープな感じではなく、3DCGとアニメ調を混ぜたような絵柄って感じでしたね。
本作の作画はロボットもそれ以外も、序盤から終盤まで全く乱れませんでしたし、高クオリティで仕上がっていました。
<ストーリー>
1~3話にかけてはギャグ多め、4~9話はシリアス8、ギャグ2というシリアス多めの展開で、10~12話はシリアス5、ギャグ5という笑えるし泣けるという展開でした。
結構ハードな展開が多く、特に中盤は序盤の展開とは打って変わって暗い描写が続きます。
しかし、終盤の展開はそれらを吹き飛ばすほど熱く、面白く、今まで貯めた鬱屈した雰囲気を一気に爆発させるような展開が続くので、一気見がおすすめかなと思います。
勇者シリーズのパロディが多いこともあって、最終話の展開は非常に好きです。
<キャラ>
基本的に本作は、主人公であるイサミとルイス、ヒロイン枠であるルル、ロボットであるブレイバーンの4キャラがメインで、その他のキャラはすべからく脇役です。
途中で仲間になるロボットもいますが、彼が仲間になるのは終盤なので、基本的にはこの4人が本作のストーリーを動かすキャラという事になるでしょう。
本作は軍人、すなわち肉体的にも精神的にも大人である人たちが中心となって活躍する話となっているため、子どもが大人に成長していくような、分かりやすい成長はなく、どちらかといえば「覚悟」や「責任」といったものが物語を通して変化していくという感じでした。
ただ、人間的に成熟しているのはルイスなどの一部のキャラだけで、主人公であるイサミに関しては、かなり成長の余地が残されているキャラとなっていたので、成長が全くないわけではありません。
特に、最終話のイサミの行動に関しては賛否が分かれていますが、私個人としてはそういった行動を取っても仕方がない状況であるな、と思います。
結局イサミも大人ですから、幾ら言葉を重ね、自分を納得させても、本来の性格が直るわけではありません。
悲観的で、臆病で、人と深く関わろうとしなかった彼の本性が出た、という感じでそれはそれで面白いなとも思いましたし、何よりあの絶望的な状況で希望を持つのもそれはそれでおかしい展開な気もします。
良い意味でも悪い意味でも、イサミは非常に人間的なキャラと言ったところですかね。
そして本作の目玉であるブレイバーン。
観たほうが早いです、彼の面白さを知るのは。
百聞は一見に如かずですので、是非。
<総評>
本当に面白い作品でしたし、高クオリティで全話仕上がっていたので、一見の価値ありです。
人によっては、2024年トップアニメにすでに選んでる人もいるかと思います。
それくらいおすすめなので、是非一度ご覧になってみてはいかがでしょうか。