蒼い✨️ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
恋が愛になる。
【概要】
アニメーション制作:A-1 Pictures
2022年12月17日に公開された、90分間の劇場版アニメ。
原作は、『週刊ヤングジャンプ』で連載されていた漫画作品。
著者は、赤坂アカ。
監督は、畠山守。
【あらすじ】
超名門・秀知院学園の生徒会の副会長である四宮かぐやと生徒会長の白銀御行。
学力・能力・生徒会活動の実績のどれをとっても誰もが認める学園のトップであるふたりは、
天才の知略を巡らせた恋愛頭脳戦の末に、文化祭“奉心祭”のキャンプファイヤーのときに、
時計台にて白銀のロマンティックな仕掛けでふたりの気持ちが盛り上がり、
ムードのままにかぐやから白銀への濃厚なキス。態度でお互いに気持ちは通じ合ったはずだが、
言葉にしての告白が無いままであり、ふたりが正しく恋人関係になるには、
キスの一件やお互いの気持ちについて、きちんと話し合う必要があった。
それが未解決のまま、恋人がともに過ごし仲が深まる一大イベントであるクリスマスが近づいていく。
白銀は、かぐやに釣合う男になるには努力しか無いとの虚勢で張り詰めていて、
かぐやは、日本随一の財力を持つ四宮家の人間としての生い立ちで心に傷を負っていていた。
かぐやと付き合うために常に完璧な自分を求める白銀と、
好きだからこそ、弱みを見せようとしない白銀に苛立つかぐや。
これは、このふたりの恋が精神的により成熟した先の関係に進むための物語である。
【感想】
かぐや様のこのパートで伝えたいことは何かというと、男女が真のパートナーになるには、
相手の良いところだけしか見ない上辺だけの付き合いではなくて、
良いところも弱いところも知ったうえで全部受け入れて一緒に生きていこうという話。
白銀とかぐやの気持ちが本物であるからこそ、譲れないところがあって悩んで衝突する姿は、
もし、男女がただのボーイフレンドとガールフレンドで終える刹那的な関係であるならば、
楽しいことだけを求めてそれ以外には見ないふりをしていれば良いのかもしれませんが、
今後何十年と付き合い続けていく本気の関係を望むと必ずいつかは直面することになる問題に、
生い立ちからくるふたりの価値観の違いを絡めて早々に表面化していったこと。
作品と全くは関係ない話ですが、交際を始めた男が自分のガチオタ趣味を隠したまま、
婚約を機に見られたくないグッズを処分して、数ヶ月でスピード結婚したら、
男にとっては針の筵のような新婚生活だったという話を読んでしまい、
お試しで同棲して相性を確かめるべきだったと嘆く声も現実にはありますし、
異性の気を引くアプローチの段階の恋愛と結婚生活などの継続した関係は別物であり、
我慢を強いられたり見栄を張り続けないと維持できない関係は壊れてしまうもの。
自意識の違いの問題や人間関係へ不安があるからこそ本音で話し合おうという、
男女の話にある普遍的なテーマで物語を進めるには、
ウルトラロマンティックで猛威をふるった縦横無尽な演出の数々もギャグにしか見えないことから、
デフォルメしたかぐやちゃんとか原作にあるコメディ要素も意味があって使うときには使いますが、
TPOに合わせたドラマ性重視の作画と演出が主になっていて、
コメディとシリアスの配分が前回と入れ替わっているのが今回の作品です。
結果的にはテンポが良くなってクオリティの高さも手伝って、
まっすぐにキャラクターの表情や声にのみ集中して見惚れる事ができたのが良く、
なによりも今までで一番美しい、“白銀に恋するかぐや様の表情”を観られたことで、
これまでのシリーズで一番の満足の出来でした。やっぱりアニメを作るのに必要なものは、
魅せたいものに合わせて空気を読んで演出をするバランス感覚ですね。
これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。