モストマスキュラー さんの感想・評価
4.4
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
問題だらけだけどクオリティは高い異世界風俗アニメ
「異世界」×「風俗レビュー」という、コンセプトからして問題だらけの作品。
実際、テレビ放送当時は、いくつかのテレビ局で、放送打ち切りとなったようだ。
これについては、残念ながら当然の結果、と言わざるを得ない。
画面のほとんどがモザイクで埋まっているとはいえ、性行為をしている様子を描写してしまっているわけだし・・・
むしろ、一瞬でも放送できたことが奇跡だと言っても良い。
また、サキュ嬢(現実世界でいうところの、風俗嬢)だけでなく、一般人女性にもセクハラまがいの行為をしている点も問題だろう。
上記の理由から、正直、高得点を付けることは憚られる作品だ。
しかし、アニメとしての出来の良さ、という観点から見てみると、これが困ったことによくできていると感じてしまったし、正直面白かった。
スタッフが、かなり強い情熱を持って、製作したことが伺える。
種族ごとの身体の構造や特徴について、よく考えてつくられている。
例えば、1000歳超えのエルフの熟女は、見た目は若いので、人間からは好かれがちだが、マナが老化しているので、マナに敏感な種族からは嫌われがちだ、とか。
逆に、人間の熟女は、見た目は老いているが、マナは若いので、マナに敏感なエルフなどには人気がある、とか。
店のプレイ内容も、そういった特徴が活かされていて、思わず、なるほど、と頷いてしまった。
こういう設定がしっかりと考えられているところが、ファンタジー好きとして、そして世界観設定好きとして面白いと感じた。
方向性は全然違うが、ダンジョン飯と似ているような気がする。(一緒にするなと怒られるかもしれないが・・・)
設定をしっかり練り込んでいることが、強い没入感につながる。
こういう作品ではそれが特に大事だと思う。
アニメとしての表現も、頑張って工夫していることが感じられた。
例えば、登場人物の一人を、マヨネーズのボトルに擬物化して表現する、など。
なんとかして放送コードに引っかからない範囲内で、視聴者に伝えようとする、スタッフの工夫と努力が感じられた。
また、アニメ全体の雰囲気がとにかく明るいところも良かった。
異種族ということで、たくさんの種族が出てくるのだが、種族間の対立とかはほとんど描かれない。
むしろ、オープニング曲の「同じ店行ったなら 種族越えた仲間さ!」という歌詞の通り、サキュバス店が好きなやつはみんな友達さ!、みたいな雰囲気がある。
オープニングも、エンディングも、全力でバカやってる感じが良い。
この、底抜けのお祭り感と、平和な感じが、自分は心地よかった。
歓楽街の、負の側面を排除し、楽しい側面だけを残したような感じだ。
何も考えず、酒を飲んで、パーっと遊ぶあの感覚を疑似体験できた気がする。
この作品の「サキュ嬢」と呼ばれる人々は、世代を遡っていくと、どこかで絶対にサキュバスの血が入っている。
そして、サキュ嬢がそういうお店で働くのは、お客から精気を吸い取るため、つまり食事のためである。
そういう背景があるので、サキュ嬢がそういう店で働くのは合法だし、皆無理やり働かされているのではなく、むしろ進んでそういう仕事をしている。
・・・という設定なので、現実とは違い、負の側面がない明るい雰囲気なのだろう。
昨今は、不謹慎な娯楽に厳しい世の中になりつつあるが、たまにはこういうバカな作品があっても良いのではないか、と思った。
「正しい世の中」というのも大事だが、「娯楽」もまた同じくらい大事なものだろう。
2期がつくられることはおそらくないだろう。
続きは原作漫画で楽しもうと思う。