てとてと さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
Aiとの恋愛系の先駆的名作
CLAMP作品で、上京した貧乏学生と、可愛らしい人型パソコンとのラブコメ。
【良い点】
Aiと人間の恋という古典的テーマを扱ったアニメとして、新旧含めて随一。
パソコンを愛した人間や、パソコンに想い人を取られて悲しむ者たちの恋模様を通して真剣に描かれる。
萌え作品的にはヒロインの美少女パソコンちぃが抜群に可愛い。
初期化された真っ新で無垢な童女の如き可愛さ、「ちぃおぼえた」等のあざとさ。
主人公秀樹が戸惑いながら接する度に新鮮で可愛らしい反応と成長を見せる。
ちぃちゃん見ているだけで萌える。
小型パソコンのすももも良きマスコット。
人間の後輩美少女ゆみちゃんもあざとい後輩キャラで大変可愛かった。
日常系としても、良い意味で平凡な貧乏男子学生が新生活で四苦八苦する様が見ていて面白かった。
秀樹のリアクションが面白く飽きさせない。杉田氏の演技も良い。
iTに疎い主人公視点で描かれる、2000年代初頭の世界。
2000年代初頭の、個人用パソコンやインターネットが普及し始めている時期特有の時代背景を活写していて懐かしい。
1998年の「serial experiments lain」(シリアルエクスペリメンツレイン)から2年程度しか経っていないが、
レインが極一握りのマニアの世界だったのが、僅か数年で一般人に爆発的に普及しつつある、この変化も面白い。
メールアカウントやプロバイダなどが初心者は分からない時代、四苦八苦してた時代に共感
テーマとしてはAiというより、より広く恋愛や愛について向き合うストーリーが良かった。
要所でちぃが読む絵本の暗喩や、人間組の悲恋模様を絡め、人間もパソコンも、変わりがいない特別が大事、人もパソコンも好きな気持ちは同じという結論に至る過程を丁寧に描いた。
「愛は誰かの代わりになれないもの」的なテーマが一貫していた。
SFとしては空想寄りではあるものの、人間とAiの関係の可能性として良いなと。
縦軸ストーリーも謎や伏線を着々と出してきて2クール飽きさせない構成。
特に20話以降は一話も目が離せず。
作画自体は抜きん出てはいないが、ちぃ含めて女の子が非常に可愛い。
またOP曲とOP映像のセンスがずば抜けていて、毎回飛ばさず見入ってしまう。
ゴチャゴチャせず、シンプルにふたりの関係と心情を繊細かつダイナミックに見せてくれる。
声優陣は若かりし頃の杉田氏が既に持ち味発揮していた他、
女性陣もあざとい。
【悪い点】
終盤の流れが急なのと、説明不足。
パソコン絡みで悲恋が噴出するのが終盤なのもあり、それまでそぶり見せてないのが急に見える。
ラストの締めも原作と差異あり、やや消化不良。
ちぃ萌えや日常系は良いものの、終盤に入るまではスローテンポ、飽きるわけではないが地味。
【総合評価】9点
20年以上経過した現在でも色褪せぬ名作。
むしろ2020年代の今振り返って新鮮な気付きがある。
空想寄りは良し悪しだけど、後発のイヴの時間等と比較しても、Aiと人間は恋が出来るか?なテーマに関しては本作の方が共感できる。
評価は最高にしたいところだけど「とても良い」