モストマスキュラー さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ここ数年で見たアニメの中で一番面白かった
タイトルのとおり、個人的にはここ数年で見たアニメの中で、一番良い作品だった。
演出、作画、音響、ストーリー・・・どれをとっても、他のアニメとは一線を画すクオリティだったと思う。
色々な意味で、まるで映画のようなアニメだな、と感じた。
演出として、意識的に間をしっかりとつくることで、視聴者を画面に引き付けるという、映画のような手法が使われていた。
そのおかげか、集中しようと思わなくても、自然とアニメにグッと集中して入り込むことができた。
25分がこんなに短く感じたアニメは久しぶりだ。
作画も綺麗で、違和感を感じるところはほとんどなかった。
キャラクターの美しさもさることながら、背景も実に美しかった。
背景美術のレベルの高さを感じる。
どこを切り取っても、そのままパソコンの壁紙にできそうなくらい、クオリティが高い。
戦闘描写の作画もとてつもないクオリティだったと思う。
原作ではあっさりとしていた戦闘描写だったが、これがアニメでは大幅に拡張され、激しい動きを伴う迫力あるものになった。
これを、原作改変だとして非難する人もいるかもしれない。
しかし、私はそうは思わない。
漫画をアニメ化するにあたって、必要な改変だったと思う。
むしろ、原作を忠実に再現していたら、紙芝居だと揶揄されていただろう。
原作改変が問題になっている昨今である。
ストーリーを原作者に無断で改変するのはもちろん論外だ。
しかし、演出面に関しては、漫画に最適な演出と、アニメに最適な演出が違う以上、ある程度の改変は必要だろう。
音響面もとても素晴らしかった。
特に戦闘シーンの音響は、まるでアクションものの洋画のような迫力があった。
それなりのスピーカーやサブウーファーをつけた環境で視聴すると、魔法の爆発音などは、身体にズシンとくるような音の圧が感じられた。
劇場版ならともかく、TVアニメでこれだけ迫力ある音の表現をしている作品はなかなかないと思う。
ストーリーも良かった。
勇者ヒンメルの死をきっかけに、これまで他人を知ろうとしてこなかったことを後悔したフリーレンが、人間を知る旅に出る物語。
基本的に、魔王討伐後の平和を表しているような、ゆったりとした雰囲気が良い。
フリーレンが、徐々に人間のことを知っていくという成長物語としても面白い。
フリーレンは、勇者パーティで旅をしていた頃と比べて格段に人付き合いが上手くなった。
しかし、それでもまだまだ未熟な部分がある。
フェルンの気持ちを理解できずに怒らせてしまったり、エルフと人間の時間感覚の違いからすれ違いを起こしてしまったりする。
フェルンの宥め方も下手で、美味しいものを食べさせて機嫌を治すくらいのことしかできない。
それでもフリーレンはなんとかフェルンのことを理解しようと頑張る。
フェルンもそれをわかっていて、フリーレンが自分を理解しようとしてくれていることを嬉しいと感じている。
こういうところに尊さを感じる。
また、この作品に出てくるキャラクターはどれも魅力的だ。
強力な魔法使いでありながら、人付き合いが苦手で、どこか他者とズレているところがあるフリーレン。
基本的に相手を様付けで呼んだり、言葉遣いが敬語だったりで、一見大人びて見えるが、性格はむしろ年齢以上に幼いところがあるフェルン。
屈強な戦士でありながら、戦士らしくない臆病さや愛嬌を持った性格をしており、それ故に色々な人から好かれるシュタルク。
これらのメインキャラが魅力的なのはもちろんのこと、サブキャラクターまで魅力的なのも、この作品の良いところだと思う。
80年のブランクがありながら、一瞬で現代の防御魔法の仕組みと弱点を見破り、天才の片鱗を見せつけたクヴァール。
魔族と人間の違いを視聴者に深く印象付けたアウラと首切り役人。
出世のためなら手段を選ばないという、非情な宮廷魔法使いでありながら、受験理由が妻の墓参りのためだったり、孫のような年齢の娘をついつい甘やかしてしまうデンケン。
などなど、上げ始めればキリがないくらい、魅力的なキャラクターが多い。
サブキャラクターが魅力的な作品は、見ていて面白い。
一気に世界観が広がる感じがするというか、作品の世界に没入できる感じがする。
名作というのはどれも、主人公サイドだけでなく、敵も魅力的な気がする。
ここまでこの作品のことをべた褒めしてきた。
実際、素晴らしい作品だと思っている。
しかし、見る人によっては退屈に感じるかもしれないとも思う。
この作品はゆったりとしていて、あまり刺激的な部分がない。
メインとなるのは戦闘ではなく、フリーレンとそれを取り巻く人間模様だ。
このアニメの面白さは、派手にガツンとくるものではなく、じんわりと染みてくるようなものなので、アニメにわかりやすい刺激や興奮を求める層にとっては退屈に感じるのではないだろうか。
戦闘描写は素晴らしいが、そもそも戦闘描写が少ないアニメだ。
2クール目は割と多いが、1クール目は少ない。
戦闘がない回で挫折した視聴者も結構いそうな気がする。
人を選ぶアニメであるかもしれないが、私のように刺さる人にはがっつり刺さる。
まあそもそもこれだけ人気になった時点で、刺さらない人より刺さる人のほうが圧倒的に多いんだろうけど。
書きたいことをがむしゃらに書きなぐっていたら、全然まとまりのない感想になってしまった。
まだまだ書きたいことはあるが、更にまとまりのないものになりそうなので、この辺にしておく。
要は、めちゃくちゃ面白かったってことです。
2期が早くも楽しみだ。
是非、製作してほしい。
願わくば、1期と同じか、それ以上のクオリティで。
あと、ラオフェンかわいいよラオフェン