蒼い✨️ さんの感想・評価
3.5
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ジェネレーションギャップ。
【概要】
アニメーション制作:京都アニメーション
2016年1月7日 - 3月31日に放映された全13話+未放送1話(OVA)のTVアニメ。
原作は、著者・秦野宗一郎とイラスト・しらびによる、
KAエスマ文庫から刊行されていたライトノベル。
監督は、石原立也。
【あらすじ】
21世紀初めに、多国籍企業の阿頼耶識社(あらやしきしゃ)の遺伝子組換え研究施設が、
爆破テロの対象となって研究中のウィルスが流出・拡散したバイオハザードの影響で、
人間の脳の構造が変化して、それまでは空想上の存在とされていた、
幽霊や妖怪や魔物(総称・ファントム)が現実世界で誰にも認識されるようになった。
それからは、異能力を持った子供が産まれるようになり、
人間と意思疎通が出来て共存できる無害なファントムも少なくはないが、
人に迷惑をかけるファントムも存在していることから、
異能力を持った少年少女は学校ごとにファントム討伐や封印を目的としたクラブ活動を結成し、
活動実績に応じて金銭を除いた報酬を得ている。
ホセア学院高等部1年生の一条晴彦はファントムの封印と召喚の能力の持ち主で、
身長が20㎝程度の妖精みたいな少女型のファントムであるルルと同居している。
学院の「脳機能エラー対策室」に所属する晴彦は2年生の先輩・川神舞とコンビを組まされてるが、
噛み合って無くてチームとしては落ちこぼれでジリ貧なことから、3人目のメンバーを探そうとする。
下校中に晴彦は、ファントムを捕食するファントムイーター・和泉玲奈の異能力を目撃し、
彼女を勧誘するのだが、厳格な両親に育てられている玲奈は首を縦に振ろうとはしないのだった。
【感想】
原作小説は読んだことがないのですが、
原作では人間が大量に死んだりハードでシリアスな展開があるらしいのです。
アニメではお気楽に楽しめるようにと独自にエンタメとしての脚色が強いとのこと。
「あまり小難しくも湿っぽくもならない楽しい作品にしたい」との石原監督の言葉があり、
キャラクター人気と感動寄りの作風のヒューマンドラマと緻密な背景が売りの京アニとしては、
珍しくも懐古的なスラップスティック・コメディ+お色気+ファンタジーバトルなアニメで、
2000年代のエロゲーやラノベをお手本にしたかのような、思春期の男性をメインターゲットにした、
所謂、なんでもありのバカアニメとして笑い飛ばせるもの目指したのかと思いきや、
第1話で舞のおっぱいを揺らしまくったインパクト抜群のリンボーダンスや、
第2話でのブルマでストレッチなどのアニメーションの気合の入り具合も、
尻すぼみ的に、そっち方面での作画の頑張りが次第に大人しくなって、
ちょっといい話っぽくオチをつけるシナリオにシフトしていきます。
第8話の温泉回とTV未放映の水着回では、
バカ展開や露骨なお色気などで笑わそうとしていますけどね。
キャラの関係性に重きを置いた京アニの人気作品の定番のロジックに必ずしも依存せずに、
代わりとしては美少女キャラのひとりひとりにスポットを当てた各キャラのエピソード回で、
昭和期の「うる星やつら」のアニメの演出要素を含んだふしぎ世界エピソードや、
ニチアサの女児アニメっぽい部分を含んだものであったりで過去の人気作を参考にしたものを、
京アニの技術で古く見えないようにリファインして順次投入した実験作的なものとして、
続編を作るつもりもなく最初から1クールでやりきって、
今後の京アニ作品の方向性を探っていく観測気球なものかと。
試みの数々に反して商業的な成功を得られなかった結果から、
以後の京アニは支持層が好む青春路線と感動路線がいっそう強くなったことで、
やはり物事を為すには何事にも理由がある。
アニメを作るにもファンが求めてる需要に応じた作品が必要であるとの、
企業判断が京アニの創作部分では特に顕著ですね。
このアニメがヒットしなかったのは、2016年のアニメであることを考慮しても、
2000年代半ばの旧来のオタク層に媚びたスタイルの笑いとお色気に走ったり、
1話完結型のアニオリ展開の参考資料にした作品が微妙に古かったりで、
面白いと思ってやっていることが概ね時代遅れで、
新規に若いファン層を取り込みたくてもジェネレーションギャップが生じていて、
面白さを感じる部分の世代格差で獲得に失敗した。
マーケティングの読み違いが原因ではないか?と想像。
美少女キャラの可愛さと作画技術の高さと幻想的な演出の良さが光るもののガワの魅力に留まり、
作品の中身のほうは掛け合いによるキャラの魅力の深まりも他の京アニ作品と比較しては特になく、
自分が求めてる笑い、自分が観たい京アニのアニメとは違うこれじゃない感で、
精神年齢が低めのギャグの数々が幼稚で恥ずかしくて見てられなかったです。
トータルで判断すると2010年代に作られた京アニ作品では残念ながら評価が低くなりますね。
現実ではこれとは違ったやり方のユーフォやヴァイオレット等が高評価と人気を得ているのを見るに、
作品ごとに様々な方向性を模索してみて狙いがハズレて的中しなかった、ただそれだけの作品ですね。
ギャグはナマモノで時代によってウケるものの変化が顕著でもあり、
当時の視聴者の感性次第でもありますので、合う人には合うし合わない人には全然ダメ。
このアニメに関しては本当は小難しいことは何もなくて、単純にそれだけで終わる話ですけどね。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。