takato さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
新海さん病。短編アニメには短編小説のような切れ味を。
ひと目見て新海さんフォロワーだなぁ〜と感じる本作。悪い作品じゃないが、中途半端という印象。本家の新海さんにも言えることだが、やりたいことは背景美術や光の描写であって、話やキャラは疎かになりがち。そっちが主眼なんです!って言いたいんだろうが、だったらpv的なやつとか、ストーリーはポエムみたいに芸術映画なスタイルの方が合っていると思う。
物語形式にする以上は、しっかりとした物語の面白さが求められる。短編だからこそ脚本の妙が問われるところであり、センスも技術も必要になる。その辺は苦手なら得意な人と協力したり任せちゃえばいい。
映像作品とはあくまで共同作業であって、自分とは違う人達との絡み合いでスパークが産まれるところにこそポイントがある(全盛時のピクサーが好例)。それが何故か日本では黒澤以降なのか、巨匠ポジションの人は天皇みたいに持ち上げられちゃって、その人に全部任せちゃうのが一番みたいな誤った傾向があるように思える。黒澤ほどの人でもそうなってからは、かつて程の輝きを見せられなくなっちゃったし、それとは比べるのも失礼な山崎貴とかに全部任せちゃうのはナンセンスだと思う。
40分の尺ならアニメ2話分くらいだから、充分意表を突いて含蓄もある話は作れるはずである。それこそ「トライワイトゾーン」なんかそれより短い尺で多くの傑作エピソードを作ってきたし(弱気者たちの聖夜は号泣した)。この話も多少ツイストが終盤にあるけど全然足りない。これだったらゴーストを見に来た子供たちこそ実は幽霊=物語の中のキャラクターで、どこにでも行けて色んな事を知れる立場である幽霊=鑑賞者の代理人くらいの捻った発想やラストが欲しい。
とにかく技術の中の技術であって、一番難しくて奥が深いキャラクターや物語を面白く語るという技術が不足している作品は、他の技術が優れていてもそれは技術の見本市、餡のない饅頭でしかない。その技術だけで勝負したいなら別のアプローチや、できる人との協力なしには真の傑作はありえない。