しゅりー さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
2011秋、最高に私の心を震わせた物語
競技かるたがテーマの超人気少女漫画が原作のマッドハウス制作アニメ。全25話。
関東では日本テレビで放送された訳ですが、本編終了後に「ちはやHOO!」という
競技かるたの解説コーナーが入るところが何だか日本テレビのアニメらしいなぁ
と筋違いな想像をしてしまいました。
どなたか「ガンバリスト!駿」を思い出された方はいらっしゃいませんか?
まあ、そんな書き出しは置いておいて、2011年秋から始まったアニメの中で
私が最も感動し、楽しんだアニメは間違いなく本作でした。
本当におかしいくらいハマってしまい、初めて本編が終わる前にBlu-rayを
買い始めるという暴挙に出た程です。
もう物語の始まり方からして、ド直球の王道展開を匂わせているわけですが、
それが全く気にならない構成、一言ごとに強いメッセージを感じる台詞、
感動系大作映画のBGMのように音楽がしっかり耳に残っていく
山下康介さんのメロディアスな楽曲の数々などなど…もう何を言って良いか
わからないほど私の好みに合った要素が多すぎるのです。
本編BパートラストからED「そしていま」への流れなど本当に大好きです。
キャラクターでは何度も空回りをし、悔し涙を浮かべながら成長していく
千早に視聴しているこちらが励まされるように感じ、瀬戸麻沙美さんの
演技もそんな千早に合っていたように思えて好印象でした。
宮野真守さんが演じる太一の醒めた部分と熱い部分のせめぎ合いなど
瑞沢高校かるた部の5人が自らの弱点を知りながら、諦めずに目の前のかるたに
集中して臨む姿勢が印象的に描かれていて、胸が熱くなります。
さらに新や詩暢、その他のキャラも心情描写がとても丁寧で、どんな立場の
キャラもしっかりと視聴後に印象に残っているのが素晴らしかったです。
ついでですが、本作に1回挿入される総集編は近年私が観てきたアニメの
総集編の中でも1、2を争う程楽しめる総集編でした。
今後視聴される予定のある方、是非総集編も飛ばさず観てください。
さて、ここまでかなり好評してきましたが、合わない人にはけっこうきつい
かもしれないという部分があるのも事実です。
先述のとおりのド直球な展開は裏返せば多少先が予想しやすくて新鮮味にかける
部分もあり、キャラクターの真っ直ぐさも観る方によっては苦痛かもしれません。
少女漫画を意識させるキャラクターデザインも好き嫌いがわかれるところでしょう。
もし視聴を迷われている方がいらっしゃったら、無料視聴枠のあるサイトで1話を
視聴されるか公式HPのバックナンバーを見るかなどで作品に流れる空気を
感じてみてから判断されるのも良いかと思います。
全体を通して、当たり前のことが本気で描かれたからこそ
輝かしい青春を感じられたような印象を持ちました。
人生の目標などに迷いが生じた時にこのアニメを観たい…と、
そう思わせてくれるアニメになるかもしれないと感じながら視聴しました。
以下、蛇足。アニメに関係ないので伏せます。
{netabare}大した暗記力もないので小倉百人一首は数首しか覚えていませんが、
学生時代に百人一首を学んだ時、これだけは自分が取ろうと思った詩があります。
天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも 阿倍仲麻呂
遣唐使で唐に渡り、日本に帰国出来ずに72歳で没した阿倍仲麻呂の詩とのことです。
実際の阿倍仲麻呂がどんな人物かは知る由もないですが、強い望郷の念を感じて
当時一番印象に残っていた詩でした。
一応授業でやった時は「あまのはら ふり」あたりで取れたはず…。
心の中にいつもある故郷、忘れられない想いを大事に明日を生きていきたいです。{/netabare}