「人間不信の冒険者たちが世界を救うようです(TVアニメ動画)」

総合得点
59.3
感想・評価
154
棚に入れた
531
ランキング
6316
★★★☆☆ 2.8 (154)
物語
2.6
作画
2.6
声優
3.0
音楽
2.9
キャラ
2.9

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ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 1.5 作画 : 1.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

観終わった

問題児たちが~かと思ったら全然違った。
ってか監督いまざきじゃーん!
スタッフの名前を見て「あっ(察し)」できる人…元々数える程度しか居ないけど、よしもときんじ氏が逝去されて更に減ってしまったので貴重な人材といえる。
ってことで最初から一切期待することなくなく視聴。

といいつつ見始めたら早速疑問が。
こんなの人間不信じゃなくね?
どっちかというと慎重になっただけで、それこそ慎重勇者の方がよっぽど人間不信だった。
一応人間不信に含めるにしても、それに至る経緯がどれも似たり寄ったり、「仲間だと思ってた人に裏切られた」という、明確に悪意を持った加害者が居る(自分は被害者でいられる)ケースばかり。
それ以外のパターンでも人間不信になることってあると思うのだが…例えば魔王討伐を掲げてるのに誰も信じてくれないとか、良かれと思ってやったことが裏目に出て迷惑をかけてしまい人と接するのが怖くなった、とか。
常人ならざる力を持ってるせいで危害を加えるつもりなんて無いのに「みんなボクを化け物を見るような目で見る、きっとアイツも、アイツも…」ってのも人間不信でしょう、「ちょっと騙してひと稼ぎしよう」と言い寄られるだけまだマシとも言える。
ってかなろう系だしタイトル聞いた時はそういう経緯での人間不信を予想したんですよね。
予想と違うからダメっでことじゃなく、バリエーションの少なさが先行き不安だなぁって話。

そんな予感は早くも的中、1話でニックが単独では冒険者の仕事が受けられない(PTが組めなくてガックリする)様子が描かれてて、「なんでソロでは仕事できんの?ギルドの方針がそういうことかな?」と思う様にしてたら、3話カランの回想で一人飯のフィフスなんてのが出てきて「あれ?」。
3話ラスト「キズナの迷宮探索」を依頼されるが、ギルドは何故わざわざサバイバーズをご指名したんだ?
4話を見る限り迷宮の探索自体は他の冒険者も行ったことがあるらしく、その時は行き止まりのランプは赤だったのが今回は青になってて、近付くと隠し通路が開いた。
何故?
前来たPTとサバイバーズでは何が違ったの?
監視してた剣が前来たPTには感じなかったナニかを見出して隠し通路を開いて招いた…じゃないのか。
…あの、何も考えてらっしゃらない?
キズナが仲間に加わることさえ書ければそれで良く、それに至る経緯なんてテキトーでいいと思ってない?

不信感が募る中での5・6話の算数ベアナックルはなかなかに苦痛でした。
で7話、進化の剣によってレオンが暴走してカジノを破棄する時「なにをやってる、オレがやりたかったことはこんなことじゃない」と後悔を示す。
「裏切ったヤツにも事情があって、後悔したり傷付いたりしてる」って話(テーマ)自体は別に良いんだけど…その、扱うキャラが違くね?
個人的には「裏切ったヤツ」の中でも一番悪辣なのはゼムをハメたミリルで、こいつにフォーカス当ててくれないことにはザマァでも同情でも、どっち方向にしろ感情が動かない。
この件では最終回でもゼムは「ナルガーヴァさんを憎むことができずにいる」と独白するのだが、いやいやその前にミリルのことはどう思ってるんだか言ってくれよと。

話は戻って8話。
一番良かった…というより一番マシだった。
ひょっとして、作者が一番書きたかったのってコレじゃない?
かつてアゲートが雨に打たれる野良犬状態だった主人公に声をかけたのは「カレシを見限ったらこうなるんじゃないか?」がオーバーラップして他人事に思えなかったから。
主人公が元気を取り戻す姿を見て、アゲートもカレシを見限る踏ん切りをつける──って内容。
伏線回収というかタネ明かしなんだけど、これに満足して他はもうどうでもよくなったのでは。
この後のステッピングマン関連の話も、書きたいことは書き終えてイヤイヤ続けてただけな雰囲気だし。
あにこれの感想を見てみたらどうやらコミックは打ち切りらしく(原作もエタってる?)、打ち切られて残念がるよりも面倒事から開放されてホッとしてる感情の方が上な気がする。

最終回も、夏眠祭という魔物が大人しくなる季節を祝った祭りが開かれるが…冒険者たちはそれをどう受け止めてるのか描かれない。
魔物による被害が減って依頼も減って商売上がったりなのか、討伐や目を盗んで探索する好機なのか、どっちでもいいけどいつもとは違う態度になるんじゃないのか?
そういうところから色々と深みって出ると思うのだが…お考えになられてない?
最後にみんなして花火を眺めるシーンが書きたいだけでそれ以外の部分なんてテキトーでいい、と。
ってか最後に花火が今まで係わってきた脇役を照らす訳だけど、これだって「忘れてませんよ」って意思表示ではなく、わざわざキャラ表を書き起こしたから使っただけにしか思えない。


総じて──
作画から漂うやる気の無いオーラに印象を引っ張られてるのかも知れないが、原作者はこの作品が嫌いだったのでは?書くのが苦痛だったのでは?と思ってしまう出来だった。
タイトルだけ先に考えて、いざ人間不信に至る経緯にバリエーション持たせるなんて面倒で考えたくもなかったのではなかろうか。
冒頭書いた通り監督がいまざきということでアレなのは覚悟してたつもりだったが、ここまでとは…前に手がけた変好きより後退してるじゃん。
世界観がチグハグなのは「設定考えるのが面倒臭いから、考証なんてしたくないから」だし、EDがああなのも監督の趣味がギターで、資料集めや取材なんて面倒なことをせずにソラで描けるからに過ぎない。
ひたすら面倒なことから目を逸らし、「なろうだからってアレな作品ばかりじゃないハズ」と信じたい視聴者を裏切り、人間不信ならぬなろう不信を加速させることに一役買っているのはなにかの皮肉だろうか。
まぁ逆に、なろう系でダメな作品ってキャラやシチュが好きで好きで突っ走ってて視聴者置いてけぼり・共感できないせいが大半だと思うので、そういう意味ではこの作品は「今までのなろうとは違う」と言えなくもないのかも知れない。

投稿 : 2024/02/29
閲覧 : 261
サンキュー:

8

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