Witch さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
釣りに興味がなくても「釣りって面白そうやん!」と思わせてくれる良作
【レビューNo.109】(初回登録:2024/2/25)
コミック原作で2020年作品。全12話。
前回「ぽんのみち」のレビューを書いている際、「JKが○○やってみた!」
系の作品だと、本作はかなりよかったなあと思い出したので、レビューしてみ
ようかと。
(ストーリー)
鶴木陽渚は高校進学に合わせ、都会から父の故郷である臼州地方熊元県にある
海辺の小さな町に引っ越してきた。
陽渚は当初手芸部に入るつもりだったが、「ていぼう部」部長の黒岩悠希に出
会い、彼女の悪知恵もありまんまと「ていぼう部」に入部させられてしまう。
釣りの経験もない陽渚だったが、「ていぼう部」で活動していくうちに次第に
釣りの魅力に取りつかれていく。
(評 価)
・釣りの知識がなくても十分楽しめる丁寧な創り
原作者の小坂泰之先生は熊本県の自宅を拠点として活動されているようで、
やはり「釣り」と深い関わりがあるんでしょうね。作品の端々に釣りに対す
る愛情や造詣の深さを感じるんですよね。
主人公の陽渚は未経験者なので、それこそイチからという感じで物語が進ん
でいくのですが
・釣りの解説が物凄く分かりやすく丁寧。
・しかし表面的なことだけでなく、釣りの世界の奥深さや本格的な部分もし
っかり描写。
それでいて視聴者が置いてぼりにされることなく、そのさじ加減が本当に
絶妙。
・これを動画工房さんがちゃんと「アニメだからこそ分かりやすく面白い」
というレベルに仕上げており、本当にいい仕事をしている。
釣りに興味がなくても十分「釣りって面白そうやん!」と思わせてくれるの
は、純粋に凄いなと。
あと「釣ったら食べる」が部のモットーらしく、料理の部分も作品の見どこ
ろのひとつなのですが、これも
・ひとつの生命を終わらせ、それを責任をもっていただくという意味
といった原作者(釣り人?)の信念のような細かい部分など、視聴してて共
感を覚え、ホントいい作品に仕上がってるなっと。
・ほのぼのとした空気感
・熊本県を舞台のモデルにした穏やかな海辺の町の綺麗な作画
・ローカル感がある熊本(熊元)弁
(これもテンポや分かりやすさを考慮し、一人に限定したのは上手い描写)
・「ていぼう部」の仲間たちの微笑ましいやりとり
ほのぼのとした空気感が心地いい。
また「ていぼう部員」の
・主人公に幼馴染の同級生1人
・釣りの師匠的な先輩2人
という構成も何気に上手いなと。
ベースは「ほのぼのとした日常系」ながらも、上述のように釣りの部分はガ
ッツリやるので、「タイプの違う先輩が後輩の面倒をしっかりみる」という
構図は、物語にテンポ感や変化を生み、サクサク飽きずに視聴できるって感
じなんですよね。
まあ(定番的な)酒癖の悪いダメ顧問は・・・知らんw
強いて難点を挙げるなら、このジャンルだとどうしても「ゆるキャン△」が比
較対象になってしまうことですかね。そこと比べると個人的には
・やっぱ予算等には差があるのかなって感じてしまう
・志摩リンのような圧倒的(?)強キャラがいない
と感じる部分はありましたかね。しかし
・制作陣はやれることをしっかりやり、ベストを尽くしていると感じる
・キャラの話は作品の方向性の違いもあり、作品全体の完成度は高い
「放課後ていぼう日誌」はこの作品として、しっかり独自の面白さをもったレ
ベルの高い作品なのかなっと思います。
もし2期があればやはり観たいと思いますし、原作者や制作陣の”作品愛”を感
じる作品は観ているこちらも幸せな気持ちになりますし。
あと作品タイトルや部活名に「釣り・フィッシング」ではなく「ていぼう」と
ネーミングしたのは、何気にセンスあるなって感じましたね。