RFC さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ファンタジー要素を上手く利用した青春劇 心理描写丁寧です
以前から気になってましたが、
キャッチさんの背中押しで視聴開始。
【作品概要】
現代日本が舞台ですが、ちょっとファンタジー。
海の人…と呼ばれる海中で生きていける人がいる世界。
元々人は海の中で生きていましたが、
陸にあこがれた人が「海の中で生きていける羽衣」を捨てて
陸に移っていった…という設定。
主人公 先島光は海の人の中2。
大人、子供の世界ともに陸の人との軋轢がある中、
物語は始まります。
【作品に対する感想】
皆様の評価がすこぶる高いので、
私の中のハードルもそれなりに高くなってたはずなんですけど、
楽々超えていったという印象です。
心情描写が丁寧です。
小学生、中2という不安定な時期、大人…
心の揺れ、苦悩がしっかり描かれてました。
幼さ、拙さ、真っ直ぐさ、痛い所、黒い所もぜんぶ。
そして物語の密度が濃ゆい!
更に展開が予想外!
2クール全くダレる事無く没入できます。
いい作品に出会えました。
名作と言っていいレベルと思います。
1)物語
➀5年後の仕掛けが絶妙
{netabare}
1クール目⇒2クール目の間に作中5年が経過します。
最初は「ああ、5年過ぎたんだ」って程度に思ってたんですけど
これが物語、キャラの関係に絶妙かつ強烈な影響を与えます。
海の人 ちさき 14歳 ⇒ 19歳
片想いだった光は5年冬眠し、14歳のまま。
地上に取り残されたちさきだけが成長。
一番変わりたくないと思っていた
ちさきだけが変わってしまった皮肉がもう…(TへT
海の人 光・要・真中 14歳 ⇒ 14歳 浦島太郎
要の片想いの相手、ちさきは(要視点で)突然19歳に。
要は14歳としては大人びてましたが、
10代で5歳差は決定的なズレにつながることに…。
陸の人 小学生組 美海・さゆ 9歳 ⇒ 14歳
美海は光に、さゆは要に 頼れるお兄さん的な
恋心を抱いてましたが、5年経過して同級生に。
距離が遠いお兄さんからいきなり
リアルな恋愛対象になったわけですね。
陸の人 紡 14歳 ⇒ 19歳
同級生だった光・要・真中は5年経っても14歳のまま。
どう接していいか距離が分かりづらいですよね。
{/netabare}
➁良くも悪くも田舎の雰囲気
悪し様に言ってしまえば田舎の老害と不条理なしきたり。
良く言えば、昔ながらの近距離で密な人間関係と伝統。
こういう独特の雰囲気が描かれてたのは良かったと思います。
2)作画
海の中の風景が凄くきれい。
そして物の劣化の作画が、地味にすごい。
クライマックスのお船引きのシーンはすごかったですね。
ちょっと鳥肌立ちました。
4)音楽
OP Lull そして僕らは
青春ものらしい爽やかな曲調で好印象。
ED アクアテラリウム
この雰囲気凄く好き♪
5)キャラ
すごくいいキャラぞろいです。
➀先島光
中二らしい中二の主人公。
真中は自分がいないとダメ…くらいに思ってたら
人間関係の変化に翻弄されまくることに。
少年漫画主人公のような真っ直ぐさと
嫉妬や黒い感情との間でキレて、悩み、それでも進むやつ。
個人的には自己中が過ぎて、ちょっと鬱陶しいと感じます。
悪い奴じゃないんですけどね。
➁向井戸真中
中二としてはかなり幼い天然ヒロイン。
引っ込み思案ですが真っ直ぐで、ここ一番では
予想外のパワーを発揮する娘。
➂伊佐木要
海の人4人組の割とオトナな人。
立ち位置を理解し、それに従って行動する人。
ただ割り切った傍観者のようでありながら、
実は割り切れてないところがかえって人間味を感じます。
根は真っ直ぐなやつ。
➃比良平ちさき
海の人4人衆の中で唯一まっすぐっぽくない人。
だからこそリアルな人らしさを感じます。
打算、嘘、諦め、嫉妬…でも人ってそうですよね。
共感という意味では、この娘が一番でした。
➄木原紡
物静かですが、ありのまま淡々と真っ直ぐな奴。
個人的にいい男子No.1。
悪く言えば人の心に土足で踏み込んでくるとも
言えるんですけど、真中の自立やちさきの解放に
いい影響を与えたと思います。
カワイイは正義 と同様、イケメンも正義www
➅潮留あかり
大人になるとこの娘の苦悩や迷いが共感できると思います。
⑦潮留至
若くして奥様に先立たれた、あかりの想い人。
状況から30歳くらいなんでしょうけど
子供がいる状態で、誰かと関係を持つ意味と責任を
も~~~~~~~~~~~~少し考えるべきですね。
「真剣に交際してる」と言われても説得力がありません。
6)印象深いシーン
{netabare}
➀あかりとオトン
「私と至の話をしてるのに海と地上の話にすり替えてる」
はすごく的を得た指摘だと思いました。
現実でもそういう事、多々ありますよね。
冷静に話をしてるあかりは大人だなと思いました。
➁残酷な5年
ちさきと紡の熟年夫婦のようなノールックの
阿吽の呼吸を見せつけられる要。
要の視点では、「寝て起きたらこうなってた」ってだけで
何の過失もないのに突き付けられた現実。
同じ学生でも中学生と大学生では世界が違いすぎますもんね。
要の立場に立つと、これはきつかった…。
➂失ったちさき
あんな表情出来ない…好きってことにただ一生懸命で…
美海に5年前の自分を重ねてそう悟ったちさき。
シュークリームの数でさらに追い打ちかけられて(TへT
でもちさきはその分得たものがたくさんあるんですよね。
それに気づかなかったり、目を背けてるだけで。
紡の「綺麗になった」はその辺も含んでの言葉と
想像してますが、言葉足らずですね(^^;
➃さゆの告白
正直さゆってあんまり好きになれてなかったんですけど
なりふり構わない全力ストレートな物言いに、
要と共にK.O.されました。
要は要でいろんなものを抑え込んでたんですね。
中学生に泣かされるとは思わんかったです。
➄愛を奪われた真中
愛って無くても生きていけなくはないんですけど、
喜び・痛み両面で人を磨く要素になると思います。
奪われた真中は、そもそも理解できないので、
周囲が「かわいそう」って思ってるだけなんですけどね。
発端の海神様の勘違いが残念です。
➅紡 ぐいぐい行く
紡は物静か奴ですが、自分の意志を明確に
持っていて、ブレないところが魅力的ですね。
最近はなよっちい男子キャラが多い中、
こういう奴は魅力的です。
ちさきは罪悪感から
紡は ちさきの光への思い から
互いの想いへ蓋をしてました。
二人とも長年抑え込んでただけに、
ちょっとだけピロトークなシーンがあってほしかったかな…
目一杯幸せなちさきの作画が見たかったと妄想しました。
{/netabare}