takato さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態：観終わった
デオドランドされたイニシャルD。尖りのないチート主人公はつまらん。
イニＤ、最後のほうは作画がボロボロ過ぎて流石に見るのが辛かったけど、本作は全体的に凄く丁寧に作られてて落差が凄い。しげのさんの絵柄を活かしつつよスッキリとした嫌味じゃないくらいに今風なキャラデザに落とし込んでいるセンスが素晴らしい。なにより主人公が美少年過ぎてびっくりしました。
ただ、良くも悪くも泥臭い漫画なヤンマガの星だったイニシャルDに比べると全体的にデオドランドされちゃってる感じで物足りない。スペックじゃなくて、敵や脇役の人間臭いキャラ立ちが大切だったイニシャルDの良い部分を引き継いでくれてない。
実質ヒロインがメカニックのオッサンというのはまだええけど、やはり樹や池谷先輩といった脇のキャラの青春や恋愛といった人間模様も含めての面白さだったし、文太や涼介みたいなメンターも欲しい。主人公のカナタにしろ拓海に比べると、美少年だけどイマイチ奥行きに欠ける。とにかく「良い子」過ぎて退屈。
こうなると拓海がいかに良いキャラだったかわかるし、中学の頃から鍛えるとか無茶苦茶やってた文太（運昇ちゃんrip）が最高だったか逆説的に明らかになる。問題がない「良い子である」ことが魅力じゃなく、尖ってても「良いヤツ」であることの方が大切なのだ（モブサイコが教えてくれる教訓）。
こうなるとイニシャルDの特徴は、やはり走り屋という社会の端っこで脚光を浴びなくても命を燃やしてる人々の話だったからより共感できる部分が多かったんだなって気づけた。金もない、名誉もない。それでも頑張る日陰もんってのは不良憧れなくてもオタクな自分でもノれる。そこが本作だと日向も日向でガッカリ…。
それにしても、今時じゃないフェミ激怒しそうなレースクィーン描写が多いのが謎。イニシャルDでは何故か恋愛がみんな上手くいかないで、最後の最後に急に上手くいく子が滑り込み的に入ってきたけどなんなんやろ？。
CGも綺麗で正確なんだろうが面白みがない。他にも言えることだが、とにかくクリアになることが正解だと思うのは間違いだと思う。それならイニシャルdの初期とか酷かったか？というとそんなこと全然なくて、それより演出やキャラが立っていたから熱い盛り上がりがあった。昔に見ていた懐古とかじゃなく、最近一気に見た私の目から見ても闇とスピード感を上手く活かせていた1,2期が一番熱かった。
綺麗になることは技術的に凄いんだろうが、それが「面白さ」に繋がるとは限らない。ミニチュア特撮や時代劇もそうだが、相応しいライティングや画質が存在すると主張したい。正直こんなんよりスピンオフでも良いから若い頃の文太の外伝が見たい。最終回でイニシャルｄの一話に繋げられたらあたしゃあ泣くね。
