たナか さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
花澤香菜×Jホラー
個人制作ホラー映画アニメという尖った作品。
高密度高層住宅団地で繰り広げられるシチュエーション・スリラー。
キャラの魅力ガーwwww
ざーさんがナイス。アニメ声すぎて現代劇には向いてないがホラーだとリアリティのなさがかえって効いてる。ホラー映画のビビり演技のウザさが減るうえ、絶叫をやりすぎなくてもきちんと差分が生まれる。音響も悪くない。
キャラの作画は妥協なのか意図的なのか不明だがこれはこれで独特の雰囲気。画面は全体的に呪怨やリングなどのJホラーやホラーゲームのムービーみたいな絵作りで、アニメなのにもかかわらずホラー映画独特の不気味さを醸し出すことには成功していると思う。それなら実写でいいじゃんとなりそうだが、ホラーをアニメならではの表現に挑戦することに意義があるのでしょう。実写でこれやったらすげえ怖いというか虫モノをフォトリアルなCGでやったらあまりにもキモすぎる。
キャラ萌えは置いとくとして「わかる」ことが重要視される媒体のアニメでこれをやる勇気。というかこれ個人でなければできないわな。監督のネームバリューがない限りスポンサーが絶対つかないやつ。でも人間は「わからないもの」を怖がるのできちんとホラーの文脈で作劇するならその場で全部説明はできない。という意味でホラーとアニメはすこぶる相性が悪い。
そのうえ虚構と現実が入り混じり現在と過去が交差するという欧米実写映画さながらの複雑なプロット。あえて全部説明しないモヤモヤ系。男どもは丁寧にヒントをくれますが、いかにも重要キャラのようにこれみよがしに登場するくせにあっさり死ぬので毎回消化不良。流石に全員これだとオマエモカーという可笑しみさえあるが、そもそもりん以外は…。
ムシのキモさを押し出したキモグロスプラッタにはしたくなかったのでしょうが、バイオハザードみたいな要素が浮いてるのは残念。軍隊の生物兵器とかは擦られだが鉄板なので悪くはない。しかしアスリート並みのパワー・スピード・スタミナを兼ね備えているりんは昔運動部で身体能力抜群!みたいな方便くらいは欲しかったかな。
ちょっと欲張りすぎたかなあという印象。実写モヤモヤホラーの傑作「CUBE」や「プラットフォーム」のように一発ネタのシンプルなギミックで興味を引く作りならまだ見やすくなったとは思う。「結局あれはなんやねん」ってオチなのは変わらないけど。
巨大高層マンションの不気味さは出来てたし絵作りのセンスは感じられる。今のお絵描きAIの技術でやったらもっといいものができると思うのでまた挑戦して欲しい。
悪食的な怖いもの見たさ、もしくはざーさんファン以外は観なくていいかも。