Mi-24 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
望まぬ結婚の先で幸せを掴もうとした、平清盛の娘「徳子」の物語
歳を取らない物の怪(もののけ)、琵琶法師の「びわ」が語る物語。
平家の人達の心情表現を中心に話しは進む。政治的な出来事はサッと概要を流す程度なので物語進行の邪魔をせず、スッキリしていて分かりやすく見易い。
内容は情緒的で、陰湿・残虐な表現はなし。
物語はテンポよく進み、絵柄もストーリーに合っていて非常に良い。
『平家にあらずんば人にあらず』
平和な生活(平家の人達の)はどうやって保つのか?
平和な生活を享受できたのは、政治力がある平清盛と平重盛の二人が健在だった期間のみ。
重盛の弟や、重盛の息子達には政治力が無く、状況に流されるだけで場当たり的な対処しかできない。
政治の主導権を奪いにくる、後白河法皇に全く対抗できず。
後白河法皇が差し向けた源義仲(木曾義仲)に大敗し、保有兵力の大半を失った後の平家は悲惨だ。
『平和は軍事力がなければ成り立たない』
いつの時代でも変わらない事実。
不変の真理である。
凄惨な流転の放浪生活を強いられる平家の人達。
政治・外交ができる人材が居らず、窮地を脱する打開策がなにもとれず。
最後はなすすべもなく檀ノ浦で滅亡...
『祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり』
『娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす』
この作品で一番印象に残ったのは、徳子の想い。
徳子に対しての、高倉上皇の言葉。
「そなたには感謝している」
この、たった一言を頼りに生きる。
徳子は“強い人”だったが、政治力・外交力がないのが致命的だった。結局、最愛の息子「安徳天皇」を守ること叶わず。
対称的だったのが、源頼朝の妻である北条時政の娘・政子。
この作品の源頼朝は随分と頼りない感じだったが、政子は源氏・源頼朝にとって最適と思われる選択に、夫の頼朝に積極的に働きかけ誘導していく。
そもそも平家の武将達が頼りにならないのが問題なのだが、徳子は政治介入せず
「何があっても絶対に守る」
と誓った最愛の息子を死なせてしまう。
徳子が政治に介入する積極性があったら、結果は変わったのだろうか...