ナノトリノ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
そして毎日は続いてく
初出は21年の冬アニメらしいのですが、観たのは21年10月から22年6月にかけてのEテレ放送版1話9分×全36話です。
このアニメで初体験したのは、最終回まで観たのにそれがそうだと気付かなかったことです。
この配信全盛時代にあって当時も今も軸足はTV録画視聴(+リアタイ)です。未視聴フォルダに溜め込んだファイルを順次消化する感じ。観るのが億劫になって数話分溜まってしまった作品は視聴断念したりもします。
溜まった録画を観ていくときにショートアニメというものは手が伸びやすい。短いのは観る前の心の準備…というか気合?みたいなものが軽いのです。なので1話9分の本作は未視聴フォルダに入ってれば真っ先に観ていたように思います。
足掛け9か月にわたり放送され、「まかないさん」の視聴は日々の暮らしの中に溶け込んでいきました。お話は優しく絵はきれいで見やすかった。それでいて若くして故郷を遠く離れ身を立てていく物語になんともいえない心強さを感じてもいました。
そんなある日のこと、いつものように未視聴アニメを片付けていると違和感を覚えました。
アレ?最近俺まかないさん観てなくない?
ちょっと調べるとすぐわかりました。6月11日なんていうクール単位で考えると随分半端な時期に放送された第36話が最終回だったみたいなのです。
えッ?ウソでしょ。最終回っぽい話なんて見てないぞ?見逃したか。
と録画を見直してみると…
ウチの環境では第36話の録画に[終]も付いてないし、内容も前後編の後編ではあるけれど何か大きな区切り感も特に無いし…ラストシーンはキヨちゃんすーちゃん2人で「がんばるぞー」と声を揃えてはいましたが…
イヤ、わからんて。気付かんて。いつの間にかアニメはきれいに終わっていたのでした。
こんなことは初めてです。最終回に気付かないなんて。
出会って、お気に入りになって、夢中でこそないものの楽しみになって、暮らしの一部にまでなってて(←ちょっと大袈裟)、なのにいつの間にかいなくなってた。さよならさえ気付けないままに。
スッと入ってきてスッと立ち去られたせいでしょうか。すぐには終わったんだという実感が持てませんでした。今も京の街に舞妓さん『百はな』こと すーちゃんが艶やかに舞い、キヨちゃんがあったかいごはんを作って待ってる。そして毎日は続いてく…っていう心持ちはそれからしばらくの間続きました。
さみしいってのとも違う、離れても遠く想ってる感じ。名前を付けて呼ぶのなら余韻とでもいうのでしょう。