タイラーオースティン さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
観る者の心に強く刺さる静かな作品
タイトルだけでは初見の人は響けユーフォニアムの関連作と気づきにくい作品ながら、本作単体でも充分楽しめるほど高い完成度を誇った映画となっております。
冒頭でのリズと青い鳥の世界で引き込まれるものがある一方で、みぞれと希美の物語は最初から静寂に満ちたもので、まるで口数の少ないみぞれを表現しているかのような雰囲気。一応、希美も主人公格なんだけれど、全体的にほぼみぞれ視点で進められていた気がする。
仲の良い二人なんだけど、すれ違いが起こり、山場だったのは終盤の音楽室でのリズと青い鳥の演奏シーン。それまで抑えめだったみぞれが本気を出した事により、部員達から賞賛され、その後の希美とみぞれの二人のやりとりは一歩間違えれば、それまでの関係が壊れてしまいそうな重苦しさがありながらも、みぞれの希美に対する想いが語られるくだりで張り詰めた緊張感が一気に感動に変わるという今まで経験したことのない感覚を味わえました。
また、ラストでそれまであまり笑わなかったみぞれが一瞬微笑むシーンは派手さこそないものの、個人的に強いインパクトを残しました。間違いなく秀作です。