たナか さんの感想・評価
2.9
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 2.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:途中で断念した
追放少女のなげき歌
ロリ萌えなろう。
村追放少女が最弱スライムとサバイブするおはなし。
01
追放系だけではないが構成上導入部分で単独行動が必須な作品では、どうしても説明モノローグがウザいという構造上の欠点を抱えるもの。異世界のんびり農家は初回まるまるブツブツ、シャンフロに至っては3話になっても1人でブツブツ独り言を畳み掛けるので本題に入る前に脱落した視聴者も多かったと思う。
今作ではその欠点を転生前の記憶がある設定で上手く回避。アニメでは音の演出も合わせ初手であえて解説せずに違和感で引っ張りつつスライム登場まで間を持たせ、しかしその後はきちんと解説する親切設計。スライムも話せないのでその後も通常サブキャラの随伴者やマスコットが行う役割に使うなど、設定を上手く使いこなしている。
世界観の根幹に関わる重要な設定ではなくあくまで物語を円滑に進めるためだけの便利機能でしかないが、ここをおざなりにして世界観はいいのに見せ方で台無しにしている作品も少なくはない。異世界転生がテンプレ化し設定自体が形骸化したからこそ、転生自体に大して意味はないけど使えるものは便利に使うということが可能になった。そのしたたかな精神性を姑息で恥知らずな大陸マインドと安易に断ずるのは簡単だし実際その通りなのだが、ビジネスパーソンとして敵と戦う必要があるのなら見習うべきものがあるようには思う。
書きたいから書いてるのではなく売れるから書いてるわけで。初期衝動100%の無職転生が生まれたピュアで古き良きなろうはもう存在しない。ビジネスではなく自己表現そのものだった無職転生はそういう意味では初期新海同様にロックな存在だった。だからこそ相性が悪ければすこぶるキモいとなる。無職のアニメ化はただのミラクル、通常のビジネスでは許されない。最小のコストで最大の効果を!売れればなんでもよかろうなのだ!パクってなんぼ!勝ち馬に乗れ!まあこんなんで目先しか見てないからジャパンは衰退したんだと思うけど。
01
異世界KEYかな?唐突な展開と都合のいい装置で優しく寄り添ってくれる肌触り
あーかわいそう かわいそう なんでこの世に生まれたの(古い)
忌み子の物語ってのは神話の時代からありますからね。生命とはガチャである。無能確定の星なしが忌み嫌われるってのは狭い村社会での優生思想では当然の禁忌であり断種すべき存在。なのにアイビーをみすみす逃した村長の無能さよ。誰かが勝手に追い出したのだろうけど管理者失格。そもそも発覚した時点で対処するだろう。新生児の時点でわかるんでしょ?このゴミ村長はマジで組織のボスとして失格。まあ勇気のある誰かが匿ってくれたてたのでしょうが、コレ見つかったら自分まで処分されるやつでしょ。その愛と仁義の体現者こそ物語の主人公に相応しい傑物と呼ぶべき人物。だがこれは健気で不幸な少女を愛でるやつ。その勇者はこの物語ではただのモブ装置でしかありません。無念。
あとはひたすら生ぬるい肌触りでじつに都合よく進みます。
塗りも丁寧で華やかな色彩、ハードな世界観だがシリアスなダークさは皆無。特筆すべきは幼女が4つのカバンを一つ一つ肩にかけたりはずしたりという、さほどなんてことのないシーンにも関わらず、その手順を一切カットせずに最初から最後まで固定カメラで舐めるように写しとる。普通は尺の無駄でしかなく作画コストも高いので絶対にやらないが、これは「不幸少女を愛でるやつ」なのでこれが最適解。他作品では絶対お目にかかれないような、少女に優しく寄り添い細やかな機微を切り取っては映し出す画面そのものがこの作品の個性となり味となる。この「普通やらねえよ」という演出をここぞとばかりにブチ込む思い切りの良さというよりも、この作品に求められてる表現に真摯に真っ直ぐ向き合った結果だと思う。「はいはいまたなろうですか…」と嫌々渋々手癖で作った駄作群とはまるで違う。好き嫌いは別にしてしっかり作品への愛を感じられる品質。ただ作品の性格上仕方ないが大口開けた顔面アップをやたらと多用するので苦手な人にはキツいかと。
品質は間違いなくいいのでKey好きならハマると思う。