青龍 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
あなたも一緒にきゅんきゅんしてみませんか?
桜井のりおによる原作漫画は、『マンガクロス』(秋田書店)にて連載中(既刊9巻、原作未読、なお、原作者は女性)。
アニメ2期は、全13話(2024年)。監督は、『からかい上手の高木さん1~3』などの赤城博昭。制作は、『ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』などのシンエイ動画。放送はテレビ朝日系列。
(2024.4.6 感想を追記)
本作は、1期からの続き物なので、あらすじは省略。
さて、私は1期のレビューで、本作を男女の立場が逆転した「逆恋愛もの少女漫画」かも?というレビューを書いたのですが、正直、私の数少ない少女漫画サンプルでは心もとなかったわけです。
そもそも逆少女漫画だと思った理由は、まず、かっこよくてスタイルもよい男子が美人でもかわいくもない私(女子)を好きなわけがないという構図(本作だと、モデルで陽キャの杏奈が中二病で陰キャの京太郎を好きになるわけがない)。そして、男子の方がその自己評価の低い女子に積極的にアプローチして心を開こうとするところ(本作だと、杏奈の方が恋愛に積極的で京太郎に壁ドンしたりしている。背も杏奈の方が高い(171.9cm))。
(※もっとも、最近は色々と設定が複雑になっているので、一昔前の恋愛少女漫画の1つの典型パターンを想定しています。あと、少年漫画の恋愛ものと比べて少女漫画の方が感情の機微の表現が繊細なこともあります。)
がしかし、KARTE14の京太郎の入浴シーンを観てピンと来たんですよ(いやソコかいというツッコミはさておき…。)。本作は「男性でもとっつきやすい恋愛少女漫画」なのだと!(笑)
(ただ、そう考えると本作の原作漫画が少年誌に掲載されていることも納得できるかなあと。)
なぜなら、このシーンの京太郎と杏奈の性別を逆転させて、性別に関する表現を違和感がないように微調整すれば、恋愛ものの女性主人公視点の少女漫画としても立派に成立すると思ったからです。
そして、京太郎の痛い中二病設定やちょいちょい挟まれる下ネタは、恋愛を真正面から直視できない、もしくは、そのことを小っ恥ずかしいと感じる(主に)男性諸氏からすると、ちょうどいい照れ隠し(誤魔化し)になると思うからです。
だから、本作は、男性でもとっつきやすい恋愛ものだと思ったわけです。
もっとも、逆にいえば、恋愛を直視したい人にとっては、邪魔に感じる要素かもしれません。
また、当然ではありますが男性主人公視点の方が男性は感情移入しやすい。もっとも、この作品を面白いと感じるなら、ツボは一緒だと思うので、男女のどちらの視点で語られるかの違いがあるだけだと思うのです。
恋愛ものアニメは、私はこれまで自らすすんであまり観てこなかったジャンルなのですが、『僕ヤバ』と出会って考えを改めた次第です。
特にバトルものや異世界ものに飽きてきて、アニメ視聴の守備範囲をこれから広げたいと思っている男性諸氏、あなたも一緒にきゅんきゅんしてみませんか?
【「山田を好きでいていい自分」(ネタバレ有りの感想(2024.4.6追記))】
{netabare}感想を書くにあたって、「1期から」通しで見直しました!(ちなみに、見直してわかったことですが、2期のラストで杏奈の居た場所は、杏奈と京太郎が初めて図書室で会った時の構図と杏奈が何か食べてるところまで含めて全く同じになってます!見直して気づいた時に鳥肌ものでした。というわけで、2週目も色々と発見があるので、私のような「僕ヤバロス」の方には、見直すのが特にオススメです(笑))
音楽は、特にOPのあたらよの「僕は…」は本作とのリンクがすごい。EDの二人が周囲から愛されて育ってきたことがわかる演出もよかった。作画も細かくて、すごい丁寧で、1期よりパワーアップしていると感じたので、評価を1期より上げました。
また、市川役の堀江瞬さんと山田役の羊宮妃那さんの吐息レベルの細かい演技が1期より良かったと感じたので、そこを上げたら満点になってしまいました(笑)。
もっとも、見直してもそこまできゅんきゅんはしなかったので、きゅんきゅんしたい場合は、先を知らない方がよさそうです。
ただ、1期から通して見直してみると、京太郎の成長をすごく感じました。だから、セラピスト山田杏奈による市川京太郎の「KARTE」(診療記録)なんだなあと(病名は中二病でしょうか…)。
特に2期は、1期で杏奈との関係がある程度進んだので、「山田を好きでいていい自分」というのが京太郎の一つのテーマであったように感じました。
中学受験の失敗という初めての挫折に直面して自分に自信を持てなくなっていた京太郎は、常に自分が杏奈とは釣り合わないと感じていた。
でも、本心では杏奈のことをもっと知りたい自分がいて、少し勇気を出して杏奈のことを知れば知るほどモデル・女優として自分とは全く違う世界にいることを思い知らされ、また自信を失うを繰り返す。
そのあたりの葛藤を、杏奈の愛読書である「君色オクターブ」に登場するイケメン濁川くん風のイマジナリー京太郎(CV.福山潤)と京太郎がするシーンが、個人的には福山さんが楽しそうに演じていて好きでした。
でも、そこでウジウジするんじゃなくて、山田とどうしても付き合いたい。だから、「山田を好きでいていい自分」になるために、在校生代表として送辞をしたり、南条先輩と向き合ったり、足立と騎馬戦で一騎打ちしたりする。
そして、そういう過程を経て、先に両親に紹介・交際宣言までして、ようやく告白に至る。そこまで外堀埋めますかってくらい慎重でしたね(笑)。
ただ、恋愛は、目隠しして箱の中身を当てるゲームである「箱の中身はなんだろな」的なところがあるなと。第三者から見ると明らかなのに、当事者にはわからない。見えないから、いつまでたってもいくら触っても確信が持てない。まして答えをどうしても外したくないなら、余計に慎重になりますよね。
さて、私は『クズの本懐』のレビューで茜の性格を変えるのは難しいんじゃないかと書いたんですが、本当に好きな人のためなら、自分を変えることだってできるんだ!と言われた様な気がしました。{/netabare}