青龍 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
美津未は自然体の自分でいいのだと思わせてくれる存在
有名作品ということで、あらすじなどは省略。もっとも、ここでレビューを書き始める前は、確実にタイトルで判断して観ていない作品です。
なぜなら、少女漫画っぽい画と、タイトルの「スキップ」?とか久しくしてないし、「ローファー」?学生がよく履く靴だから、あーどうせ学生がスキップしたくなるようなウキウキした恋愛の話なんでしょう?みたいな(笑)
(ちなみに、原作漫画は『月刊アフタヌーン』に連載されているので、青年向けみたいですが、未読。)
しかし、色々な方のレビューを見て、どうもそうではないらしいということで観始める。
結果、偏見・決めつけはよくない(笑)。面白いものを観る機会を喪失していたと反省。最近、確実にアニメの守備範囲が広がってますね。
本作は、恋愛要素がほとんどなく(続きがあるとすれば恋愛要素も絡んできそうですが…)、もっぱら男女がくっついたり離れたりする話ではないので、タイトルから私と同じ想像をしている方は、それは違うとだけはいえます。
じゃあ、本作の魅力は何なのか?
私は、周囲の人間が主人公の美津未と触れ合う中で、その人たちが仮面を捨てて自然体になっていく開放感だと思いました。
特に都会の人間は、人が多く、その場限りの付き合い、もしくは、仕事だけの付き合いが多くなるので、場面場面にあわせて期待された振る舞いをする仮面(ペルソナ)を被って生きている。それは、社会を円滑に生きていくために必要なことなのだけれど、仮面を被り続けることは、ストレスになる。
そのストレスから彼らを開放する救世主が、美津未なのかなあと。
美津未の自然体の純粋さが、周囲の人間の仮面、心の壁を取り払っていく。
彼女は自然体の自分でいいのだと思わせてくれる存在。
仮面を被ったままでは、深い人間関係はできない。しかし、実際に仮面を外したら、今まで少なくとも表面的に良好だった関係の相手に嫌われるかもしれない。だから、我々は、彼女たちの自然体の交流を魅力的に感じるのだと思うわけです。
作品が一般に広く受け入れられる背景には、その作品の持つメッセージ性が今の社会を反映していることがあると思うわけですが、本作は、仮面を被って生きることの多い現代社会にも通じる話だと思いました。