タイラーオースティン さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
考えさせられる作品
居場所を失っている子供たちに対して、ちょっと生きるヒントを与えてあげるような、決して甘くない世界だけれど、それでも道は見つけられる、そんな物語。誠実で丁寧な作りの映画。
物語にはいくつかの秘密があって、進行と共に明かされてゆく。7人の最初の距離感ならともかく時間を経た上での関係性を考えたら、そこまで延々気付かないのって不自然じゃない?って思うような秘密も複数あるのだけれど、それは作劇上、仕方ないと割り切っているのかな。描かれる期間が割と長いゆえに7人が結びついてゆく時間も多いと思う。意識し過ぎてしまうがゆえに逆に人との距離感を測るのが苦手なコたちゆえのぎこちなさゆえと解釈すべきなのかも。
真面目に作られた映画なのだけれどちょっと物足らなさというか贅沢な注文を言ってしまうとアニメーションとしてのダイナミズムとか躍動感とか、そういうワクワクした感じに乏しいと思った。原恵一監督は『クレしん』映画の時代にはそういう映像がいっぱい溢れていたのだけれど、それより後は誠実、丁寧、真面目の方は目立つものの絵が動いて楽しいって方面にはあんまり…みたいな印象。キャラクターデザインもアニメートも背景美術も決して悪くはないのだけれど、テレビアニメでも今はクオリティの高い作品が多いので、そこから映画として原恵一監督作品としての特別さというのは感じられなかったです。
映画の中に存在する最も大切な要素、その場所やトリックや構造がいかにテーマを語っているのか、見終わってじっくり考察してみるのもいいかもしれない。