ナノトリノ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:今観てる
レントはどこにいるか
万年銅級冒険者レント・ファイナは龍に喰われてしまいました。ところがどういうわけかスケルトンとして生き返り…いや死んでるというか不死者として復活というか。
彼の身体が滅んだのは確かです。ではこの物言わぬ骸骨姿の、それでもなお神銀(ミスリル)級冒険者を目指す存在は何者でしょう。記憶や意識がレントならそれはレントでしょうか。極端な話、記憶言動がレントなAIはレントといえるのか。
彼は存在進化の可能性に賭け、やがてスケルトンからグールに進化します。いくばくかの言葉を発することが可能に。コミュニケーションもなんとか取れるし、気力・魔力に加えて聖気まで使えるならアンデッドだってレントといえなくもないか。
グールになった彼は人肉を喰らう欲求に抗えずロレーヌを物理的に食います。そして屍鬼に存在進化。流暢に喋り、いずれは上位存在であるバンパイアにそしていつかは人間に…? 見た目もだいぶ人間ぽくなったしこれならレントといってもいいのか。
私の考えはいずれも否です。「彼」はレントじゃない。レント・ファイナは龍に喰われてとうに死んだ。今の彼は文字通り同名の別人、望まぬ不死の鉄級冒険者レント・ヴィヴィエであると考えています。しかし街の人たちは彼をレント・ファイナと認識している。
一説に人は二度死ぬといいます。一度は身体が滅んだ時に、二度目は全ての生者に忘れられたときに。
変態学者ロレーヌが、受付嬢シェイラが、鍛冶屋夫妻が、ギルド職員が、世話になったかつての新人冒険者たちが思い、語り、慕うその先にレント・ファイナは今もいます。
人は一人では生きられないとも聞きます。仮にこの先一切の記憶を失い似ても似つかぬ姿かたちに変わったとしても、街の人たちがかの不死者をレントと慕うのなら彼はレントなのです。