ワタ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
スタンド・アローン・コンプレックス
ネットワークを介して思考を他者とやりとり出来る電脳化や
身体器官を人工物に置換できる義体化が一般に普及している近未来の話。
設定やストーリーが複雑で難解、そんな理由で敬遠してる人もいるかもしれませんが
アクション、サスペンス要素も多分に含まれ、エンタメとして見ても一級品。
海外の刑事ドラマっぽい作りになってるで間口は存外広いと思われます。
公安9課メンバーの"スタンドプレーから生じるチームワーク"に痺れること必至です。
とは言え、頭を空っぽにして見れるような作品ではなく
言い回しが複雑だったり、難解な用語・設定等を早口で捲し立てることが多いので
視聴の際にはかなりの集中力を要しますが
世界観に魅力を感じられれば、あまり苦にはならないと思います。
作画にやや安定性を欠きますが、戦闘シーンの作画はよく動くし迫力十分。
菅野よう子による劇伴や声優の演技も絶品で、基本的に全てが高次元。
科学技術の発展により生じる様々な問題の扱い方、テーマの描き方も実に見事です。
今更言うまでもなく、傑作ですね。
{netabare}
私が本作で一番感銘を受けたのは"スタンドアローンコンプレックス"という概念です。
現実においても、高度化し続けるネットワーク社会において、今後この事象が引き起こされる可能性は
十分考えられるでしょう。というか実際ちょっと前に流行った"タイガーマスク運動"が
まさにスタンドアローンコンプレックスと言えるのかもしれません。
ただ、笑い男の事件では、模倣犯が自身を笑い男であると思い込む現象が発生してますが
タイガーマスクの件は、模倣者が自身を本物(オリジナル)であると認識してはいないでしょう。
つまり、ただの模倣に過ぎないと言える。プロセスは非常に似通っているんですがね。
本作の電脳化社会では、現実よりも遥かに人と人とがネットを介して密接しており
瞬時に情報が共有されるようになっています。そしてある事柄において互いに共感し合えた時、
意識が同調し、それぞれの個が薄れていく(個々の境がなくなる、意識の並列化)。
同時に、集合体としての巨大な意志=全体の総意が形成され、それが個を規定するものになり得る。
この現象がスタンドアローンコンプレックスであると解釈しました。
こういった下地があるからこそ、オリジナルの存在の不明瞭さと相まって
笑い男事件において模倣犯が大量に生まれ(総意をより強固なものにするため)、
自身をオリジナルであると思い込む現象も発生するのだと考えましたが・・・
うーん、イメージしにくいですw 実際に電脳化してみないと分からんですね(笑)
{/netabare}