esuriki さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
なぜもっともっと評価されないのだろう?
2022年前後に公開されたアニメ単独映画としては,秀逸な出来だと思い書かせていただきます。たいていの作品がそうであるように、劇場で見て、感動を通り越したのでBlu-rayまで手に入れました。
2018年の本屋大賞の小説が,アニメ映画化されたとのことですが,もともとが良かったことも有り,映画化されるならもっと早い方が良かったかもしれません。
しかしながら,原作よりも私は映画の方が「訴える力があり」映画化されるまでの4年間以上?のタイムラグを感じさせない仕上がりになった作品だと思います。加えて、中学生はもとより大人まで見られて,それぞれの経験や見解と照らし合わせながら見られる万人向きの作品だと思います。
よく「いじめ」や「不登校」にかかわって感想を述べたレビューや大人批判・教育者や学校批判と絡めて、感想を書いたものを読みますが,私は真っ向からとまではいかなくとも,違うなと思っています。
「不登校」やそれに起因する「いじめ」『を』描いているのではなく,「不登校」やそれに起因する「いじめ」『で』(それをたまたま題材として)ヒロインの「こころ」をはじめとする思春期の7人が大人や同年代の中学生への確執,葛藤を描きつつ「一歩二歩」と成長していく純粋な物語だと思っています。
オオカミと7匹の子ヤギの取り上げ方にしても、一種の題材として原作者の考えた味付けとして考えていますし「巧妙」だなと感心します。
いかんせん,確かに映画の冒頭から,あちこちに「ネタバレ」の伏線(ヒント)がたくさんあって,勘の鋭い方には面白くないかもしれませんが,それを差し引いても立派な青春成長物語だと評価したいです。
リオンの「お姉ちゃんを家に・・・」という願いも、こころちゃんの願いもどっちが,大きくてどっちが小さいかなどとは思いません。
人は皆,精一杯生きている中でこうなりたい,こうしたいという願いがあり,凝り固まったときには現実から脱皮したいものです。
令和になった今でも学校や学歴に価値を置く人たちはたくさんいますし、それもまちがっはいませんが,「たかが学校」という考え方も「あり」だと思います。必要に迫られれば,あるいは興味関心を持てば,年齢がいくつであっても勉強する場所も機会も豊富にある・選べる時代です。
個人的な話ですが私も、社会人「も」入れる国立大の大学院で学びましたし、娘の一人は,公立高校をこの映画の題材のような事情で中退しましたが,紆余曲折を経て4年制大学まで進み卒業しました。
その気になれば、大切な「命や健康」と少しのお金さえあれば,勉強の挽回はいつでもできす。
私は仕事柄と大学院でなるべく批判的に物事をとらえないように訓練されましたが,ややもすると「かがみの孤城」を「批判的な捉え方」をしている人たちに、視点を変えて再度じっくり見てほしいなと思うヒューマンドラマだと確信しています。