Witch さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
(最終)2期でもステップアップした市川の成長譚をしっかり描いていた
【レビューNo.116】((最終レビュー)初回登録:2024/3/31)
コミック原作で2024年作品。全13話。
1期のレビュー書いたので、2期も続けてみようかなっと。
アマプラの方で「ツイヤバ」を独占配信していたようなので、まずは前哨戦の
そのレビューから。
(ストーリー)
1期冒頭では、厨二病を患っていた市川京太郎。
しかし同級生・山田杏奈への恋心を明確に自覚して、彼の心境にもいろいろと
変化があったようで。
一方の山田の方も市川に対し、特別な思いを抱いているようで・・・
そんな2人の甘酸っぱい青春ラブコメの第2幕が開演です!
(評 価)
・ツイヤバ:キャラ造形がしっかりしているから、キャラが勝手に物語を紡いで
いく感じ
{netabare}・「ツイヤバ」は、原作者がX(旧Twitter)で公開したショート漫画や小ネ
タをアニメ化した作品のようで、14編程のショートコント集のような創り
になっています。
・ショートコント集ながらもしっかり「僕ヤバ」してるなっと。
やはり原作者がきちんとキャラに深い愛情をもって、しっかり創り込でい
るから、ちゃんと「僕ヤバ」という作品に昇華されておりやっぱり面白い。
●ありがちなのが
・「ドヤ、めっちゃいいシーン思いついた」でこれを最初にもってきて、
・キャラをそこへ無理やり当てはめる。
って感じの作品ですが、
●本作は
・キャラを最初にしっかり創り込む。
・そこへ描きたいシチュエーションを用意する。
→ そのシチュエーションの中で、キャラ達がそのキャラに応じた言動
(物語)を勝手に紡いでいく。
(そしてそれがキャラや物語、そして視聴者側への更なる積み重ねに
繋がっていく。)
って感じなんですよね。
・例えばツイヤバでは、「おはよう」で始まり「バイバイ」で終わるとい
う構成になっています。
有体にいってしまえば、市川と山田の挨拶の様子を描いているだけです。
それでも、2人がしっかりキャラ立ちして積み重ねもあるから、(短い
尺ながらも)2人らしいラブコメが自然な感じで展開され、「僕ヤバ」と
いう作品がきちんと成立してるって感じなんですよね。
そんな感じで(本編とは少し毛色の異なる作品でしたが)2期への期待を抱
かせてくれるのに十分な出来でしたね。{/netabare}
・第13話:初回から神回。キーホルダーひとつでここまで面白く話を創れるとかw
{netabare}ヨルシカは引き抜かれましたが(笑)、2期のOP曲もなかなかに良き。
それにOP映像から作画カロリーがハンパない!
山田ファッションショーからの「市川×山田」を中心としたダンスシーンとかw
しかもグルっと回るカメラアングルとか、どんだけ贅沢仕様やねん!!
ここまでくると「僕ヤバ2期のOP踊ってみた」みたいなバズりを狙ったあざ
とさすら感じますなwww
本編の方は1期からの続きで、いきなり骨折して腕を吊ってる市川から始まり
ますw
しかし初回から詰め込み具合がハンパない!
・市川のうかつな言動に気持ちが二転三転する山田の描写を中心に
・山田の芸能活動の話やら
・原さんを上手く使って
・「原さん×神崎」の恋模様を放り込んで、物語に奥行きを出しつつ
・原さん目線で「市川×山田」の恋模様をさりげに描いていくという。
それに山田の描写も
・雑誌に載ったことが嬉しくて、わざらしく市川にアピールするいつもの山
田らしさを入れたその後に
・山田のために雪景色を撮ろうとして骨折したことを、うっかり話してしま
った市川に大いに責任を感じ落ちこんだり
こういう暗の部分も入れて、山田という人間をより高度で魅力的にキャラ造
形してる点もホント上手いなっと。
でもこの作品はここで終わらない!
今回の影のMVPは「秋田けんたろう」(&関根)。
(市川がお土産で山田にあげた秋田犬のキーホルダー)
・冒頭で(市川がそんなかわいいアイテムを持ってることで)彼氏さんに
「きっもー」とネタ扱いから始まると
・お揃いの「秋田けんたろう」を持ってると原さんに気付かせて、上述の
ように原さん目線からの2人の恋模様描写のキッカケ作りに貢献し
・更に終盤では、山田がその「秋田けんたろう」を失くし、物語を大きく
動かしていくキーアイテムに昇格!!
・ここまであまりいいところがなかった市川が一大奮起して、雪の中を
山田のために「秋田けんたろう」を必死で探し
・そこへ関根がいろいろと絶妙なフォロー!!
・最後に(関根のフォローで)山田が現れ、その見上げた視線の先には・・・
いやー、いろいろと詰め込んだ1話のエピソードが、最後はこの2人にシーンに
ピタリと収束していく構成はホント秀逸です。
あいかわらず2人の決めシーンは最高にエモいですが、2期ではそんな2人だけ
でなく、(1期ではあまり見られなかった)原さんや関根といった第3者を上手
く使って物語をより面白く展開させていくのかなという期待感を抱かせる初回
でしたね。
ラストは山田の一言で、来週が気になる波乱含みな幕開けとなりましたしwww{/netabare}
・第14話:14歳「僕は大人のなりかけ」を上手くみせていた
{netabare}14話のタイトルは「僕は大人のなりかけ」
山田の誘いで山田の家におじゃますることになった市川。
ラッキースケベ等恋愛脳的なベタな展開の連続になるのかと思いきや・・・
いやーいい意味で期待を裏切ってくれしたね。
自分はダメな人間で、いつか大切な人に嫌われるんじゃないかと不安になる山田。
そこに市川のフォロー。
・それに気付けたのは山田が大人になったから。
・山田の親が山田が習い事をやめるたびにご馳走を作ってくれるのは、山田に
挑戦するのを諦めてほしくないから。
→ 山田ならまた前を向けることを知っているから。
大人になるのが怖い。山田との関係が変化してしまうからと不安になる市川。
そこに山田のフォロー
・自分の知らない大人の証 → いつも山田に気付かされる。
・「ちゃんと声が低くなったら、私の事いっぱい呼んでね。」
本当に14歳「僕は大人のなりかけ」を絶妙にみせてるなあっと。
・今まで気付けなかったことに気付くようになったこと。
・それが原因で不安になったり、新たな1歩に踏む出すきっかけにもなること。
そして最後はしっかり2人の関係性に回帰させて締めるあたり、今回も1話の尺
を上手く使って「僕ヤバ」らしいエピソードでよかったと思います。{/netabare}
・第15-17話:毎回市川の気づき・成長を入れてくるのは凄い
{netabare}15話のタイトルは「僕は山田と」以下
16話「山田は僕を」
17話「僕は知りたい」
1期から通して、ここまで「外れ」と感じる回がないのは本当に凄いなっと。
・なんだかんだで毎回市川の気づき・成長をちゃんと入れている
・しかも中二という微妙なラインをピンポイントで突いてくる
1期のレビューでも書きましたが、
>「原作者は中二(恋愛)の教祖様なのか?!」と思える程に、程よいライ
>ンを突いてくるシナリオ展開や日常描写の「中二加減」の絶妙さ。
市川を筆頭に原作者のキャラへの思い入れが溢れ出ているいうか、キャラを
「対等な人間」として扱い真摯に向き合っているからこそ、この絶妙さが生
まれるんだろうなっと。
思えばここまでのタイトルには「僕は~」みたいな「僕」というキーワード
が入っているわけで、
・原作者が一番描きたかったことは、ラブコメを介しての市川の成長
・それを制作陣もしっかり理解してるからこその、ラストのタイトルを活か
したエモい演出で、きっちり印象付け
そりゃ心に響いて毎回面白いはずだわ(^^♪{/netabare}
・第18-22話:安定して面白いので雑記
{netabare}安定して面白いので雑記
・市川姉は女子大生だったのか?!
お姉さんは漠然と女子高生かなって思っていたのですが、山田のお泊り
回で父とビールの飲んでいたので「?!」ってなって、確認してみたら
女子大生だったというw
あのキャラデザでは女子中学生と言われても違和感ないからなあ~。
ウチも2人の娘が6歳差なんで、ちょうどあんな感じなんだろうな。
・ナンパイ先輩の卒業
ナンパイ先輩の卒業回で保健室にいた市川と山田へ最後にきれいなパス
を出して、すぐ2人が出てきてただならぬ空気でって感じでしたが。
てっきり何か進展がであったんかと思ったら、どうもそうではないよう
で・・・
今だにこのシーンだけは理解できないんだよなあ。
あのわずかな時間に何があったんや?!
2期では「山田の隣に胸を張って立てる自分」という市川の明確な成長目標
が示される訳ですが、対象となる山田が
・本来ならヒロインは文武両道とかの優等生キャラだったりしますが、山
田はそんなキャラじゃない
・その分芸能人としてステップアップしていく様で、市川の動機付けを補
完していく
(それでいて山田が安易に「遠い存在」となるという描写より、素の山
田は「自分と何ら変わりのない中学生」で陰で努力しているいう描写)
この辺りも、物語を上手く展開しているなあって感じですね。{/netabare}
・第23-25話:最後まで僕ヤバらしさを貫いたのは好感が持てる(少々演出がウザいが)
{netabare}体育祭や修学旅行ということで。
市川も(以前のような斜に構えるウことなく)そういう行事を普通に楽しめ
るようになったんだなあと。
修学旅行ではベタなコメディ展開から、ここで綺麗に決まるのかと思わせて
おいて、一度クールダウンさせるのが僕ヤバ流w
そしてラストは等身大の中学生を描いた僕ヤバらしいいい終わり方だったと
思います。
ただ狙い過ぎか、過剰な映像や音楽が少しウザいと感じたかな。
素材がいいのでそのままシンプルな味付けでよかったのでは。{/netabare}
(最 終)
ラブコメとして十分面白いのは確かですが、それ以上に面白いのがタイトル
「僕は○○」に象徴されるような市川の成長物語で
・1期:自分を守るために自分の世界に閉じこもっていた過去との決別
・2期:「山田の隣に胸を張って立てる自分」というなりたい自分像
しっかりステップアップしている様を描いているのはさすが。
そしてそこにしっかり山田の成長も合わせて入れてきたのは、ホント魅せ方
が上手いなっと。
ラブコメ展開も進めつつ、この成長譚でもきちんと2期の意義を示していたか
なと思います。
またそのレベル感も本当に(大人になりかけの)「等身大の中学生」を見事
に描いていると思いますし。
こうして2期をみると、1期のラストのセリフ「ありがとう」が、更に深みを
増していくというか・・・
・原作者がしっかりキャラの内面にまで踏み込み「汗をかき」
・そのキャラ達が自然に躍動して物語を紡いでいく
やっぱりキャラをしっかり描いている作品は強いなっと。
なので
・「ストーリー」ありきで「何をしたか」にばかりに気を取られ
・キャラ造形を疎かにして「見映え重視」のドーピング
的な作品はきちんと「汗をかいて」ほしいと思うのですよ。
そこに私たちも「プロのクリエイターへのリスペクト」が生まれる訳でして。