ヘンゼル さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
気持ち悪い者同士の気持ち悪い恋愛
恋愛系で初めて、「気持ち悪いなあ」と感じました。
それと同時に劇的なドラマを描くわけでもなく、特異な物語の中でただ「甘い日常と出来事」を見せていくのはどこかリアリティさえ感じましたね。
「好きになる」という感情に、綺麗なドラマも場面もセットも要らないのだと。
それゆえに、最後まで本作を完走した私から言いますと「まともな恋愛系を観たければ観ない方がいい」と、助言しておきます。
概要・・・本作品は、友達に裏切られ傷心した主人公が両親からのネグレクトにより愛情不足のヒロインと成り行きで半同棲になり、ヒロインを好きになるという話。
要は、「傷ついた者同士が心の隙間を埋め合いながら仲睦まじく暮らす」というのが本筋のストーリーです。
正直一文にまとめるとしょうもない話かと思いますが、実は・・・本当にしょうもない話なんですよね。
うーん、ただ本作のような恋愛作品ってヒロインとイチャイチャ暮らすっていうのがメインで多分ストーリーを求めるのは野暮なんじゃないかと思います。
まあ、それもイマイチなんですけどね。
演出・・・ヒロインや主人公のリアクションがワンパターンだし、寝て起きてハプニングがまあ多い事で、飽きるし冗長だしそういった「イチャイチャする」引き出しが少ない。
最終話のプリンを食べさせるシーンでようやく新しいの出てきたかという感じで、デートシーンとかも良かったけど何だかいまいち本作品でしかできない絡みやイチャイチャが出来てない気がするんですよ。
はっきり言って面白くないし、やっぱり見てて飽きる。
キャラクター面・・・正直主人公とヒロインは芯がブレまくりで、観ていてよく分からない気持ちになりましたね。
主人公のキャラもクール系をやりたいのか、王子様系をやりたいのか、カワイイ系をやりたいのか迷走している感じで、主人公の言動もそれによって変わるから観ていて不安になる。
第5話のホワイトデーのプレゼントを渡すシーンは、主人公が男子高校生相応に緊張してばっちり格好を決めてきたりと、カワイイ所を見せてくるんですよ。かと思えば、渡したプレゼントのアクセサリーをヒロインが「つけて欲しい」といった際、「仰せのままに」とか返すしさあ・・・。
カワイイ系から王子様系のジョブチェンジが早すぎる。どういう感情で観てればいいんでしょうかね?
ヒロインは比較的マシなんですが、小悪魔モードに入る演出がまっっったく無くて不意に突然訪れるため、視聴していて「今ヒロインどういう感情?」と頭がバグる事が多い。
ここら辺はアニメの演出のせいで、変にリアル寄りにしないで欲しかったと思う。
脚本面・・・主人公が変にヒロインに対して冷たい言動をする理由が明かされるのが10話であるのも遅すぎるし、その理由が示唆されるようになったのも確か第6話あたりと、完全に序盤の展開を捨てにきてる脚本であると感じる。
原作を知らない人たちから見れば、主人公の性格はそういったキャラ付けとして思うし、序盤で何の説明もされないから余計に不躾なキャラだと捉えられる。そういった説明不足のせいで、序盤で視聴を辞めた人が大勢いるのもうなづける出来だと思った。
本作を上記のタイトルにした原因として、主人公のキャラの不安定さとヒロインの演出不足による不気味さが大きい。
最終話の、2人の共依存が確定した告白シーンもそれに拍車をかけ、気持ち悪いカップルを眺めるアニメとなってしまっている。
ラノベアニメのハズレが近年本当に多すぎない?と考える今日この頃。
制作会社の原作理解度の不足もそうだけど、小説をアニメにする高等技術を必要とするからなあ。
アニメが氾濫するこのご時世だからこそそういうのが多いのかもしれませんね。
というわけでそんなキワモノを観てみたい物好きな方がいれば、ぜひとも視聴してみてはいかがでしょうか。