「ブルバスター(TVアニメ動画)」

総合得点
61.7
感想・評価
74
棚に入れた
153
ランキング
5287
★★★★☆ 3.1 (74)
物語
2.9
作画
3.3
声優
3.2
音楽
3.1
キャラ
2.8

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キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 4.0 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

血の通ったキャラが魅力的

【総合評価☆☆☆】
 突出した作品のない2023年秋アニメの中では、ベストワンに推したい佳作である。
 物語は、『地球防衛企業ダイガード』や『プラネテス』の系譜に連なる「SFお仕事アニメ」として始まる。基本的なプロットは、利益優先で隠蔽体質の巨大企業に下請けの零細企業が反抗するというもので、「親会社の引き起こした公害は巨大な害獣(巨獣)の発生」「下請け企業が大型ロボットを使って秘密裏に駆除する」という設定によって、SFバトルものとしての体裁が整えられた。
 おそらく、当初は、ロボットを開発した熱血漢がパイロットとして頑張りすぎ、経理担当者から厳しく咎められるというやり取りを、物語の軸に据えるつもりだったのではないか(原作小説は読んでいないのでアニメに基づく推測)。しかし、これだけでは盛り上がらない。実際、アニメ冒頭の数話は、かなり退屈である。周辺人物に目を配りながら群像劇として話を進めるうち、徐々に脇役だった何人かが生き生きと動き出し、血の通ったキャラとして独特の魅力を発揮し始める。物語はいつしか企業ものの枠から外れて「科学の暴走」という遠大なテーマに向かい、そのあおりを食って、ヒーロー役だったはずの熱血漢は影が薄くなる。
 こうした転換がどこまで意図的なものかは判然としないが、結果的に、作品の質は尻上がりに向上する(特に第7話以降)。キャラの成長が当初の設定とバッティングするせいもあって、出来の良い部分と悪い部分が(親会社の虚を突く高度な策略とハゲの特効薬を巡る滑稽な騒ぎのように)まだらになっており、全体としてはアンバランスさを感じるものの、特定のキャラに絞って物語を読み解いていくと、無類の面白さに舌を巻くだろう。
 私が特に興味を持った人物が、3人いる。
 零細企業の社長は、技術開発のキャリアを諦め下請け業務に専念しているが、私生活では妻と娘に去られ愛犬が唯一の語り相手らしい。そんな彼が、ラストで6人の社員についていかなる評価を与えるか、思い出すだけで胸が熱くなる。
 巨大企業で巨獣調査を担当する女性研究員---厳しい就業規則に縛られながらも、科学者としての良心を貫こうとする姿は、凜として美しい。逃げ場のない屋内で巨獣に襲われながら、予想外の膂力を発揮して他の二人をドアの外に放り投げたときには、心底惚れ惚れした。
 私が最も好きなのが、女性パイロットのアル美だ。寡黙でまったく可愛げがないが、言動の端々に、傷つきやすいナイーブな心性がにじみ出る。黙々と仕事に復帰したように装いながら、化粧する習慣がないせいか、泣き腫らした跡を隠せない。肩を出したキャミソールという尖ったファッションなのは、オシャレのつもりではなく、涼しく動きやすいからだろう。心の支えが必要なとき、母の形見である小さな十字架を握りしめる習慣があるが、紐の長いネックレスにすると何かに引っかかって危険なので、首輪のようなチョーカーを使う。どこかのブティックでオシャレ大好きな女子に混じって、実用性だけを考え買い物をするアル美の姿を妄想し、デレ笑いしてしまった。
 2023年の推しキャラNo1である。

投稿 : 2023/12/31
閲覧 : 60
サンキュー:

2

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